リンパ節転移のないHER2+乳がん、術後PTX+トラスツズマブでの10年生存率/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/07

 

 リンパ節転移のないHER2陽性(HER2+)乳がんに対するパクリタキセル+トラスツズマブでの術後補助療法の長期アウトカムを調査した非盲検単群第II相試験の10年間の解析結果について、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏らがLancet Oncology誌2023年3月号で報告した。著者らはこの結果から、「腫瘍サイズが小さくリンパ節転移のないHER2+乳がんの術後補助療法の標準治療として、パクリタキセル+トラスツズマブが妥当である」としている。

 本試験は、米国13都市16施設から、腫瘍の大きさが3cm以下でリンパ節転移のない18歳以上のHER2+乳がんでPS 0~1の患者を対象とした。適格患者には、パクリタキセル(80mg/m2)+トラスツズマブ(負荷量4mg/kg、維持量2mg/kg)の静脈内投与を12週、その後トラスツズマブ(毎週2mg/kgもしくは3週ごとに6mg/kg)を40週投与した。主要評価項目は3年無浸潤疾患生存(iDFS)率で、今回はプロトコールで規定された治療を受けた患者すべてを対象とした10年生存率と、HER2DXゲノムツールを用いた探索的解析の結果を報告した。

 主な結果は以下のとおり。

・2007年10月29日~2010年9月3日に登録された410例中406例がパクリタキセル+トラスツズマブの術後補助療法を受けた。
・登録時の平均年齢は55歳(標準偏差:10.5)、406例中女性が405例(99.8%)、白人が350例(86.2%)、ホルモン受容体陽性が272例(67.0%)だった。
・追跡期間中央値10.8年(四分位範囲:7.1~11.4)で、解析集団406例においてiDFSイベントが31例に観察され、局所同側再発6例(19.4%)、新規の対側乳がん9例(29.0%)、遠隔再発6例(19.4%)、死亡10例(32.3%)であった。
・10年iDFS率は91.3%(95%信頼区間[CI]:88.3~94.4)、10年無再発率は96.3%(95%CI:94.3~98.3)、10年全生存率は94.3%(95%CI:91.8~96.8)、10年乳がん特異的生存率は98.8%(95%CI:97.6~100)であった。
・HER2DXリスクスコアは、iDFS率(10単位増加当たりのハザード比[HR]:1.24、95%CI:1.00~1.52、p=0.047) および無再発期間(HR:1.45、95%CI:1.09~1.93、p=0.011)と有意に関連していた。

(ケアネット 金沢 浩子)