第III相CROWN試験の3年間の追跡において、ロルラチニブは日本人ALK陽性非小細胞肺がんに対しても、全体集団と同様の良好な結果を示した。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、和歌山県立医科大学の寺岡 俊輔氏が発表した。
・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)
・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)
・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性
主な結果は以下のとおり。
・日本人患者は48例。ロルラチニブ群25例、クリゾチニブ群23例が総合解析の対象となった。
・解析時に、ロルラチニブ群の56%、クリゾチニブ群の4.5%が治療を継続していた。
・ロルラチニブ群45.9ヵ月、クリゾチニブ群38.9ヵ月の追跡期間における、BICR評価のPFSは、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は11.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.16~0.83)。
・治験担当医評価のPFSは、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は9.1ヵ月であった。
・ORはロルラチニブ群72.0%、クリゾチニブ群52.2%であった(HR:0.25、95%CI:0.11~0.57)。
・頭蓋内の進行までの期間(IC-TTP)は、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は16.6ヵ月であった。
・ロルラチニブ群の全例、クリゾチニブ群の24%は、36ヵ月頭蓋内進行がなかった。
・Grade3/4のAE発現はロルラチニブ群84%、クリゾチニブ群72.7%であった。
第III相CROWN試験約3年の追跡、日本人サブセットにおいてロルラチニブは頭蓋内含め全体と同様の成績を示した。この結果は、脳転移の有無を問わず、未治療のALK陽性NSCLCにおけるロルラチニブの使用を支持するものだと寺岡氏は結んだ。
(ケアネット 細田 雅之)