切除可能なPD-L1陽性StageIB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法として、ペムブロリズマブとラムシルマブの併用療法が有効であることが、多施設共同の単群第II相試験であるEAST ENERGY試験の結果から示唆された。国立がん研究センター東病院の青景 圭樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法は、切除可能NSCLC患者に対する標準的な術前補助療法の1つとして認識されている。しかし、プラチナ製剤不適格患者に対する、この薬剤の組み合わせは十分に検証されていない。一方、ICIと血管新生阻害薬の併用は、進行期NSCLCにおいて有効性と安全性が報告されている。
ICI+血管新生阻害薬を術前補助療法に適用できないか。EAST ENERGY試験では、PD-L1陽性NSCLCに対し、ICIであるペムブロリズマブと血管新生阻害薬(VEGFR2阻害薬)であるラムシルマブの併用術前補助療法の有効性と安全性が検討された。
・対象:PD-L1≧1%の切除可能なStageIB〜IIIA(AJCC8版)NSCLC患者24例
・介入:ペムブロリズマブ(200mg)+ラムシルマブ(10mg/kg) 3週ごと2サイクル→手術
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央病理学審査(BIPR)評価による主要な病理学的奏効(MPR)率
[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)率、R0切除率、奏効率(ORR)、無再発生存期間(RFS)、PD-L1発現別の全生存期間(OS)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・BIPR評価のMPR率は50.0%(24例中12例)で、事前に設定したMPR率の基準(MPR 9例以上[37.5%以上])を超え、主要評価項目を達成した。
・pCR率は25%(24例中6例)であった。
・観察期間中央値23.6ヵ月時点でのRFS中央値は未到達、12ヵ月RFS率は91.1%、24ヵ月RFS率は75.6%であった。
・同期間でのOS中央値は未到達、12ヵ月OS率は100%、24ヵ月OS率は94.4%であった。
・Grade3の治療関連有害事象(TRAE)は23例中7例に発現、そのうち5例が重篤だった(Grade4以上はなし)。
・Grade3の免疫関連有害事象は、23例中3例(急性腎障害2例、リウマチ性多発筋痛症1例)に発現した(Grade4以上はなし)。
・Grade3の術中・術後合併症は22例中3例(肺ろう、術中肺動脈出血、術後胸腔内血腫)に発現した。
青景氏は、この新しいレジメンはPD-L1陽性NSCLCの術前補助療法として、プラチナ不適格患者や高齢患者に適用できるだろうと述べた。
(ケアネット)