パソコンやスマートフォンの電源を入れて初めに起動するアプリについて、最近では、メールではなくFacebookやX(旧:Twitter)などのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)からという人も多い。私たちの生活に浸透したSNSについて、医師はどのツールを、どのように使っているのか、会員医師1,000人にアンケート調査を行った。アンケートは、8月11日にCareNet.comのWEBアンケートシステムで全年代、全診療科に対して実施した。また、2019年にも同様のアンケートを実施していることから、今回の結果と比較した。
Threads、TikTokは不人気?
質問1で「SNSの利用状況」を6つの代表的なツール別 (Facebook、X、Instagram、YouTube、Threads、TikTok)に聞いたところ、「書き込み/投稿している」ツールはX(154人)、Facebook(130人)、Instagram(118人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のツールはYouTube(706人)、X(341人)、Facebook(333人)の順で多かった。そのほか「利用している」の「書き込み/投稿」「閲覧」を合わせたものではYouTube、X、Facebookの順で多かった。TikTok、新たに登場したThreadsは約90%の会員医師が利用していなかった。
質問2で「診療に関する情報を集める目的で使っているSNS」について聞いたところ(複数回答)、利用していない(550人)が一番多かったが、使用されているツールではYouTube(272人)が一番多く、次にX(201人)、Facebook(107人)と続いた。
質問3で「診療に関する情報を集める目的で最も使っているSNS」を聞いたところ(単回答)、「利用していない」(575人)が一番多かったが、使用されているツールではYouTube(186人)が一番多く、次にX(152人)、Facebook(56人)と続いた。
年代別の調査について20・30代の会員医師(n=335)では、「書き込み/投稿している」ツールはX(85人)、Instagram(73人)、Facebook(43人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のツールはYouTube(258人)、X(158人)、Facebook(154人)の順で多かった。
40代の会員医師(n=209)では、「書き込み/投稿している」ツールはX(25人)、YouTube(25人)と同率で、次にFacebook(24人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のツールはYouTube(145人)、Instagram(68人)、X(56人)の順で多かった。
50代の会員医師(n=240)では、「書き込み/投稿している」ツールはFacebook(25人)、YouTube(21人)、X(19人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のツールはYouTube(171人)、Facebook(67人)、X(66人)の順で多かった。
60代以上の会員医師(n=216)では、「書き込み/投稿している」ツールはFacebook(26人)、YouTube(23人)、Instagram(15人)の順で多かった。また、「閲覧のみ」のツールはYouTube(132人)、Facebook(46人)、X(44人)の順で多かった。
若い医師はInstagramの利用が多い
前回2019年の調査との比較で4つのツール(Facebook、X、Instagram、YouTube)の利用状況では、「書き込み/投稿している」ツールで今回伸びていたのはX、Instagram、YouTubeでの3ツールで、「閲覧のみ」ではFacebook、X、Instagram の3ツールで伸びていた。「利用していない」は全部のツールで減少していた。
年齢別でみると、20・30代では「書き込み/投稿している」ツールでXとInstagramが約2倍近く伸びていた。40代ではほぼ前回と同じような利用状況だった。50代では「書き込み/投稿している」ツールでXが約2倍、YouTubeが約8倍の伸びをみせていた。60代以上では「書き込み/投稿している」ツールでInstagramが約2倍近い伸びをみせていた。
「診療で最も使用するSNS」では、前回に比べInstagramが大きく伸びていた(2.0%→26.0%)。また、「使用しない」はほとんど変化がなかった(57.0%→57.5%)。
最後に自由記入で「よく使うSNSとその理由、診療で役立つアカウント、注目している医療者などのSNSに関するエピソード」について聞いたところ、以下のような意見があった。
【SNSに肯定的なご意見】
・SNSでは簡潔にまとめられていることが多く、保存しやすい〔整形外科〕
・コロナ後遺症、補聴器などで役立つコンテンツが多い〔耳鼻咽喉科〕
・SNS上の海外医師の外科手術動画は勉強になる〔脳神経外科〕
・患者の考え方や理解に役立つ〔小児科〕
【SNSに否定的なご意見】
・信頼性に不安があるので、SNSからは専門的な情報は得ていない〔内科〕
・SNSそのものを利用していない〔血液内科〕
・SNSの発信は誤った情報が多い〔臨床研修医〕
・SNSに興味がない〔眼科〕
【参考しているSNSサイトやアカウント】
・YouTubeで平島 修氏の「フィジカルクラブちゃんねる」をみている〔脳神経外科〕
・YouTubeは専門領域でも勉強になる配信をされていることが多く、「心電図マイスター
チャンネル」はよく利用している〔循環器内科〕
・ヒロ医師ブログ初心者(Xアカウント:@doctor_hhm)をフォロー〔消化器内科〕
・YouTubeの「メンズNs」は患者さんに説明するのに平易な言葉で解説してくれるので
みている〔膠原病・リウマチ科〕
アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
SNSの利用状況
(ケアネット 稲川 進)