エストロゲン受容体(ER)+、HER2-の早期乳がんの術前化学療法として、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)のgiredestrantまたはアロマターゼ阻害薬のアナストロゾールを投与した第II相coopERA BC試験の結果、giredestrantはより有意な細胞増殖抑制効果を示し、忍容性は良好であったことを、米国・David Geffen School of MedicineのSara A. Hurvitz氏らが報告した。Lancet Oncology誌2023年9月号の報告。
coopERA BC試験は、2週間のgiredestrant治療がアナストロゾールよりも強い細胞増殖抑制効果を示すかどうかを検証するためにデザインされた非盲検無作為化対照第II相試験。世界11ヵ国59ヵ所の病院または診療所で実施された。2021年の欧州臨床腫瘍学会で中間解析が報告され、今回は主要解析と最終解析が報告された。
対象は、cT1c~cT4a-c、閉経後、ER+、HER2-、未治療の早期乳がんで、ECOG PS 0/1、Ki67≧5%の患者であった。参加者は、window of opportunity phaseとして1~14日目にgiredestrant 30mgを1日1回経口投与する群と、アナストロゾール1mgを1日1回経口投与する群に無作為に1対1に割り付けられた。層別化はTステージ、ベースライン時のKi67値、プロゲステロン受容体の状態によって行われた。その後、16週間の術前化学療法として、同じレジメンに加えてパルボシクリブ125mgが1日1回、28日サイクルの1~21日目に経口投与された。主要評価項目は、ベースラインから2週間(window of opportunity phase)のKi67値の変化率であった。
主な結果は以下のとおり。
・2020年9月4日~2021年6月22日の間に221例の患者が、giredestrant+パルボシクリブ群(112例、年齢中央値62.0歳)とアナストロゾール+パルボシクリブ群(109例、62.0歳)に無作為に割り付けられた。うち194例(88%)は白人であった。
・主要解析(データカットオフ:2021年7月19日)において、Ki67値の平均変化率はgiredestrant群で-75%(95%信頼区間:-80~-70)、アナストロゾール群で-67%(-73~-59)であり、主要評価項目を達成した(p=0.043)。
・最終解析(データカットオフ:2021年11月24日)において、最も多かったGrade3/4の有害事象は好中球減少症(giredestrant+パルボシクリブ群26%[29例]、アナストロゾール+パルボシクリブ群27%[29例])と好中球数の減少(15%[17例]、15%[16例])であった。
・重篤な有害事象はgiredestrant+パルボシクリブ群で4%(5例)、アナストロゾール+パルボシクリブ群で2%(2例)に発現した。治療関連死はなかった。
これらの結果より、研究グループは「giredestrantは有望な抗増殖・抗腫瘍活性を示し、単剤でもパルボシクリブとの併用でも忍容性は良好であった。この結果は、現在進行中の試験でさらなる検討を行うことを正当化するものである」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)