対側乳がん発症後の生存に関する報告は一貫していない。今回、韓国・Dongguk University Ilsan HospitalのHakyoung Kim氏らが、Stage0~III期の原発性乳がん患者における対側乳がん発症と生存の関連を調査した。その結果、対側乳がん発症と全生存期間との関連はみられなかったが、乳がん診断後早期の発症、HR陽性HER2陰性乳がん患者での発症は生存期間との関連が示された。JAMA Network Open誌2023年9月5日号に掲載。
本コホート研究は、韓国・Asan Medical Centerにおいて、1999~2013年にStage0~IIIの転移のない片側性乳がんと診断され、2018年まで追跡された患者を対象とした。追跡期間中央値は107(四分位範囲:75~143)ヵ月であった。追跡期間中の対側乳がん発症の有無により対側乳がん群となし群に分け、それぞれの生存率を、研究集団全体および対側乳がん発症までの期間と原発乳がんのサブタイプによるサブグループで解析し、時間依存性Cox比例ハザードモデルを用いて比較した。
主な結果は以下のとおり。
・対象となった乳がん患者1万6,251例は、すべてアジア人(主に韓国人)で平均年齢は48.61(標準偏差:10.06)歳、418例で対側乳がんを発症した。
・全生存率は、対側乳がん群となし群で有意差はなかった(ハザード比[HR]:1.166、95%信頼区間[CI]:0.820~1.657)。
・原発乳がんに対する手術後1.5年以内に対側乳がんを発症した患者では、試験期間中の全死亡リスクが高く(HR:2.014、95%CI:1.044~3.886)、手術後1.5年以降に発症した患者では生存に有意差は認められなかった。
・HR陽性HER2陰性乳がん患者では、対側乳がん群で全死亡リスクが高かった(HR:1.882、95%CI:1.143~3.098)。
著者らは「これらの結果は、予防的対側乳房切除術の選択肢を検討している患者のカウンセリングに貴重な情報を提供する可能性がある」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)