不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、第1選択の治療として推奨されているが、労働者の不眠症に対する有効性は、よくわかっていない。東京医科大学の高野 裕太氏らは、労働者の不眠症状のマネジメントにおけるCBT-Iの有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2023年10月号の報告。
3つの電子データベース(PubMed、PsycINFO、Embase)より文献検索を行った。
主な結果は以下のとおり。
・21件の研究をメタ解析に含めた。
・全体としてCBT-Iは、対照群と比較し、不眠症状の有意な改善が認められた。
●不眠症重症度(g=-0.91)
●入眠潜時不眠症重症度(g=-0.62)
●中途覚醒不眠症重症度(g=-0.60)
●早朝覚醒不眠症重症度(g=-0.58)
●睡眠効率不眠症重症度(g=0.71)
・対照群と比較し、総睡眠時間の改善は認められなかった。
・CBT-Iは、対照群と比較し、うつ症状(g=-0.37)、不安症状(g=-0.35)、疲労(g=-0.47)の有意な軽減が認められた。
著者らは、「私たちの研究結果は、CBT-Iは、Webベースおよび対面のいずれにおいても日中労働者の不眠症状のマネジメントに効果的な介入であることが示唆しているが、臨床的に意味のある改善が認められたのは対面でのCBT-Iのみであることに注意することが重要である。なお、交代勤務の労働者に対するCBT-Iの有効性は、判断できなかった」としている。
(鷹野 敦夫)