片頭痛治療に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体フレマネズマブの有効性は、ランダム化比較試験で実証されているものの、実臨床での研究結果は、いまだ限られている。獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、リアルワールドにおける日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の有効性および忍容性を明らかにするため、単一施設観察研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2023年7月6日号の報告。
対象は、6ヵ月間、毎月または四半期ごとにフレマネズマブ投与を行った反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者。主要アウトカムは、フレマネズマブ治療後の1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および治療反応率の変化とした。副次的アウトカムは、治療6ヵ月時点での治療反応患者の予測因子を特定とした。また、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者におけるフレマネズマブ治療の有効性を評価し、毎月投与群と四半期投与群におけるフレマネズマブの有効性を比較した。MMDは、頭痛日誌を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、1回以上のフレマネズマブ治療を行い3ヵ月以上のフォローアップ調査を実施した片頭痛患者127例(年齢:45.2±12.6歳、女性:96例)。
・MMDのベースラインからの変化量は、1ヵ月後で-6.1±4.7日、3ヵ月後で-7.7±4.4日、6ヵ月後で-8.5±4.5日であった(各々、p<0.001)。
・6ヵ月後の治療反応率は、以下のとおりであった。
【EM群】50%以上:67.6%、75%以上:22.5%、100%:5.4%
【CM群】50%以上:52.2%、75%以上:14.9%、100%:1.5%
・フレマネズマブ治療は、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者35例においても、有効であった。
・毎月および四半期ごとのフレマネズマブ投与は、EM群およびCM群のいずれにおいても、MMD減少に対する同様の効果が認められた。
・CM群の65.1%において、6ヵ月後にEMの寛解が認められた。
・副作用発現率は9.5%であり、軽度であった。
・1~3ヵ月のMMD50%以上減少は、6ヵ月後のMMD50%以上減少の適切な予測因子であった(感度:90.5%、特異度:80.6%、p<0.001)。
これらの結果から、著者らは「片頭痛患者に対する毎月および四半期ごとのフレマネズマブ投与による良好な有用性および忍容性が、リアルワールド研究において確認された」としている。
(鷹野 敦夫)