BMIとは、ご存じのとおり肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数1)である。しかし、同じBMIを持っていても体組成と脂肪分布によって個人間でばらつきがあるため、“死亡リスクが最も低いBMI”については議論の余地がある。そこで、カナダ・Vascular and Stroke Research InstituteのIrfan Khan氏らが死亡率に最も強く相関する肥満に関する指数を検証するため、全死因死亡および原因別(がん、心血管疾患[CVD]、呼吸器疾患、またはその他原因)の死亡率とBMI、FMI(脂肪量指数)、WHR(ウエスト/ヒップ比、体型を「洋なし型」「リンゴ型」と判断する際に用いられる)2)の関連性を調査した。その結果、WHRはBMIに関係なく、死亡率と最も一貫性を示した。ただし、研究者らは「臨床上の推奨としては、質量と比較した脂肪分布に焦点を当てることを考慮する必要がある」としている。JAMA Network Open誌2023年9月5日号掲載の報告。
本研究は、英国全土の臨床評価センター22施設のデータを含む、英国バイオバンク(UKB)に登録された2006~22年における死亡者データ(38万7,672例)を発見コホート(33万7,078例)と検証コホート(5万594例:死亡2万5,297例と対照2万5,297例)にわけて調査が行われた。発見コホートは遺伝的に決定付けられた肥満度を導出するために使用され、観察分析およびメンデルランダム化(MR)解析が行われた。
主な結果は以下のとおり。
・観察分析の対象者は平均年齢[±SD]56.9±8.0歳、男性17万7,340例(45.9%)、女性21万332例(54.2%)、MR解析の対象者は平均年齢[±SD]61.6±6.2歳、男性3万31例(59.3%)、女性2万563例(40.6%)だった。
・BMIおよびFMIと全死因死亡との関係はJ字型であった一方で、WHRと全死因死亡との関係は直線的だった(WHRのSD増加あたりのHR:1.41、95%信頼区間[CI]:1.38~1.43)。
・遺伝的に決定付けられていたWHRは、BMIよりも全死因死亡と強い関連を示した(WHRのSD増加あたりのオッズ比[OR]:1.51[95%CI:1.32~1.72]、BMIのSD増加あたりのOR:1.29[95%CI:1.20~1.38]、異質性のp=0.02)。
・この関連は女性よりも男性のほうが強く(OR:1.89[95%CI:1.54~2.32]、異質性のp=0.01)、BMIやFMIとは異なり、遺伝的に決定付けられていたWHRと全死因死亡の関連はBMIに関係なく一貫していた。
(ケアネット 土井 舞子)