片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。
論文検索には、観察研究用の電子データベースを用いた。抗CGRP抗体(エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumabなど)を使用している成人片頭痛患者を対象に有効性アウトカム(1ヵ月当たりの平均片頭痛/頭痛日数の減少、片頭痛/頭痛日数が50%以上減少した患者の割合)が報告された研究を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・スクリーニング後、データ抽出、定性的および定量的分析を行うため、47研究をメタ解析に含めた。
・片頭痛に関して、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数が50%以上減少した患者は54%(95%信頼区間[CI]:49~59)、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数の減少は約7.7日(95%CI:8.4~7.0)であった。
・頭痛に関して、1ヵ月当たりの平均頭痛日数が50%以上減少した患者は57%(95%CI:48~64)、1ヵ月当たりの平均頭痛日数の減少は約8.8日(95%CI:10.1~7.5)であった。
・使用薬剤や片頭痛タイプを考慮したサブグループ解析は、これまでの結果と同様であった。
(鷹野 敦夫)