高血圧治療補助アプリで8mmHgも降圧、治療効果のある患者とは

CureApp HT高血圧治療補助アプリ(以下、治療アプリ)が保険収載、処方が開始してから1年が経過した。現在までの治療効果について、株式会社CureAppが「スマート降圧療法RWD発表記者会見」において、全国の医療機関で処方された治療アプリに入力された血圧データの解析結果を説明した。
本データ解析によると、全体集団における12週後の収縮期血圧の変化は起床時では8.8mmHg、就寝前では8.5mmHgの低下がみられた。これについて同社取締役の谷川 朋幸氏は「治験で検証されていなかった65歳以上の患者を含む、幅広い患者集団において薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによるスマート降圧療法の効果が示された」とコメント。薬事承認・保険適用を受けた治療アプリによる実臨床での降圧データの公開は世界初である。
本試験の概要ならびに結果は以下のとおり。
<試験概要>
高血圧症向け治療アプリへの入力データを用いた後ろ向き研究で、以下の条件で実施された。対象者:
2022年9月~2023年4月にアプリを処方された患者
家庭血圧を少なくとも1回入力した患者
情報の研究利用を拒否する旨の意思表示を行っていない患者
主要評価項目:
高血圧症向け治療アプリ使用開始(ベースライン)後12週間での降圧量(ベースラインの週およびアプリ使用開始12週後の週においてそれぞれ5日以上血圧を入力した患者が対象)
解析方法:
年齢、アプリ使用開始時点での服薬の有無、塩分チェックシートスコア、BMIでの層別解析
結果:
・解析対象者は554例で女性は263例(55.1%)だった。
・アプリ使用者の平均年齢は55.1歳(範囲:22~87歳)で、そのうち65歳以上は115例(21%)だった。
・薬物治療を行っていたのは248例(45%)であったが、その薬剤の種類や用量は不明であった。
・アプリ使用開始後12週間での全体集団における収縮期血圧の降圧変化は、起床時は-8.8mmHg、就寝前は-8.5mmHgだった。
・65歳以上での12週後の収縮期血圧変化は、起床時で-11.8mmHg、就寝前で-10.1mmHgだった。
・ベースラインでの平均収縮期血圧は起床時が133.6mmHg、就寝前が129.7mmHgで、治験1)時(起床時:149.3mmHg、就寝前:143.3mmHg)より低い傾向にあった。
・2023年8月時点で報告対象となる健康被害はみられなかった。
―――
医師に向き合ってもらえている、この感覚が患者のやる気に
実際に本治療アプリによるスマート降圧療法を行っている野村 和至氏(野村医院)は処方が推奨される患者の特徴や処方経験からみえたことについて語った。同氏は患者13例に処方を行い11例がプログラムを終了(1例中断、1例は導入後一度も使用せず)、そのうち8例が改善を示した。この患者変化について、「医師は患者の入力データをネット接続したPCで確認するわけだが、患者の生活習慣の問題点、配慮すべき心理面などを把握することができる。本治療アプリを通して患者の全体像がみえてくるため、患者の良い所をみつけて褒めることもできた。過去に薬物療法を自己中断していた方でも行動変容に合わせた声かけにより継続することができ、スマート降圧療法で血圧も改善した」と述べ、別の症例では「毎年冬に血圧上昇がみられ降圧薬を増量する患者に対しスマート降圧療法を勧めた結果、2剤服用していた降圧薬のうちCa拮抗薬を中止するに至った。また、それに伴いHbA1cなどの数値にも改善がみられた」といった、驚くべき改善が得られたことを報告した。一方、治療アプリを処方する際に困った点として、予想以上に血圧低下するケース、スマート降圧療法を求め別の施設から同氏の元へ来院するケースがあったそうで、前者については、「血圧低下時の対処方法を決めておく必要がある」と説明。後者については、かかりつけの医療機関で治療ができないか相談してもらい、難しいようであれば半年間だけスマート降圧療法留学をお願いする」などの工夫を紹介した。
なお、同氏が考える“スマート降圧療法が推奨される”患者像は以下のとおり。
■推奨される患者像
健康志向の強い人、高血圧症の早期、内服薬に抵抗のある人
■推奨される併存疾患
メタボリックシンドローム、心不全、腎疾患(運動のみ注意)
このほか、減塩、減量、運動が推奨される疾患を有するなど
成功モデル・離脱モデルのデータ蓄積に期待
さらに、プログラム終了間近の患者が “終わってしまうのが寂しい”“まだ続けていたい”という感想を漏らしたことに同氏は驚いたそうで、「プログラム上で自身の話を受け止め、病気についてアドバイスしてくれる点が行動変容に効果があるのではないか」と見解を示した。最後に同氏は、スマート降圧療法は治療効果や治療中断の防止もさることながら、「“やったらできる!”という自己効力感の向上に重要」と強調し、「行動変容モデルを意識した適切なアプローチ、マンネリ化の防止のために、データ蓄積と本治療アプリのアップデートに期待したい」と締めくくった。
(ケアネット 土井 舞子)
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