心不全患者における前立腺肥大症・前立腺がんが増加~日本のリアルワールドデータ

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/14

 

 前立腺肥大症および前立腺がんは心血管疾患リスクを上昇させる可能性がある。しかし、心血管疾患患者における前立腺肥大症や前立腺がんの有病率はわかっていない。今回、佐賀大学の兼田 浩平氏らが全国規模のリアルワールドデータで調査したところ、心血管疾患、とくに心不全による入院患者において、前立腺肥大症・前立腺がんの有病率が増加していることがわかった。Frontiers in Cardiovascular Medicine誌2023年10月19日号に掲載。

 本研究は、日本の全国規模の循環器疾患診療実態調査(JROAD)のデータを用いた後ろ向き研究で、心血管疾患で入院した患者における前立腺疾患(前立腺肥大症・前立腺がん)の有病率と経時的推移を評価した。2012年4月~2020年3月における1,058施設の男性患者607万8,487例のデータを使用した。コクラン・アーミテージ傾向検定を用いて、調整オッズ比(aOR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究期間全体における前立腺疾患の有病率は5.7%(前立腺肥大症:4.4%、前立腺がん:1.6%)であった。年齢別では、65歳未満が1.1%、65~74歳が4.7%、75歳以上が9.9%と年代が上がるにつれ増加した(傾向のp<0.05)。
・全体の有病率は時間の経過とともにすべての年齢層でわずかに増加していた。とくに2015年から2016年にかけて、また65歳以上において増加していた。
・心不全で入院した患者は、心不全以外の心血管疾患(aOR:1.02、95%CI:1.01~1.03)や急性冠症候群(aOR:1.19、95%CI:1.17~1.22)で入院した患者と比べて、前立腺疾患の併存率が高かった。

(ケアネット 金沢 浩子)