統合失調症患者は、一般集団と比較し、肥満の有病率が高いことが知られている。これまでの研究では、統合失調症患者における体重増加は、抗精神病薬に対する治療反応と関連していることが報告されている。しかし、統合失調症患者のBMIと治療効果との関連は依然としてよくわかっていない。中国・北京大学のXiaofang Chen氏らは、初回エピソードおよび抗精神病薬未治療の統合失調症患者におけるベースライン時のBMIと抗精神病薬治療による臨床症状改善効果との関連を調査するため、本研究を実施した。その結果、統合失調症患者のベースライン時のBMIは、その後の陰性症状改善と関連している可能性が示唆された。Frontiers in Pharmacology誌2023年11月9日号の報告。
対象は、初回エピソードおよび抗精神病薬未治療の統合失調症患者241例。12週間のリスペリドン治療を実施した。症状重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。BMIは、ベースライン時および12週間のフォローアップ時に測定した。
主な結果は以下のとおり。
・抗精神病薬治療により、初回エピソードおよび抗精神病薬未治療の統合失調症患者の体重は増加した。
・12週間の抗精神病薬治療後、ベースライン時のBMIと陰性症状改善との間に負の相関が確認された(r=-0.14、p=0.03)。
・線形回帰分析では、ベースライン時のBMIは、統合失調症の初期段階において抗精神病薬リスペリドンに対する治療反応の独立した予測因子であることが示唆された。
(鷹野 敦夫)