これまでの研究において、スクリーンタイムは、とくに小児のうつ病と関連していることが示唆されている。この関連性は、男性よりも女性において、強くみられることがいくつかのエビデンスで示されているが、これらの調査結果は決定的なものではない。米国・コロンビア大学のLauren E. Kleidermacher氏らは、代表的な米国成人を対象に、スクリーンタイムとうつ病との関連を性別階層化のうえ、調査を行った。AJPM Focus誌2024年4月号の報告。
本研究は、2015~16年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータを用いて、2023年に分析を実施した。スクリーンタイムは、テレビおよびコンピュータの時間を含め、3群(1日当たり0~2時間、3~4時間、4時間以上)に分類した。うつ病の定義は、患者健康質問票(PHQ)スコアが10以上とした。テレビおよびコンピュータのスクリーンタイムについて、個別の分析も行った。スクリーンタイムとうつ病との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・性別とスクリーンタイムとの間に、有意な相関が確認された。
・最もスクリーンタイムが長い群(4時間以上/日)とうつ病との関連は、女性で観察された(オッズ比:3.09、95%信頼区間:1.68~5.70)。
・スクリーンタイムの種類は、この関連に影響しており、テレビはコンピュータよりも強い関連性を示した。
・男性では、すべての群において、有意な関連は認められなかった。
著者らは「とくにテレビの視聴時間の増加が、女性のうつ病と関連していることが示唆された。これが女性のうつ病のリスクマーカーとなりうるかを明らかにするためには、さらなる研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)