BRCA1またはBRCA2変異陽性で、MRIサーベイランスプログラムに参加した女性と参加しなかった女性における乳がん死亡率を比較した前向きコホート研究の結果を、ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのJan Lubinski氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2024年2月29日号で報告した。
BRCA1またはBRCA2変異陽性の女性が11ヵ国59施設で登録された。参加者は、1995~2015年にベースライン調査票に記入し、2年ごとの追跡調査でスクリーニング歴、がん発症の有無、治療歴や健康状態について記録。登録前に乳がん診断、両側乳房切除、MRIスクリーニング検査を受けている場合は除外された。参加者は、30(またはベースラインの質問票の日付のどちらか遅い方)~75歳(または乳がんによる死亡)まで追跡調査され、データ解析は2023年1月1日~7月31日に行われた。
Cox比例ハザードモデルを用いて、MRIサーベイランスなしの場合と比較したMRIサーベイランスによる乳がん死亡率のハザード比(HR)と95%信頼区間[CI]を、時間依存性解析により推定した。
主な結果は以下のとおり。
・計2,488人(BRCA1変異陽性:2,004人、BRCA2変異陽性:484人)の女性(試験開始時の平均年齢:41.2[30~69]歳)が解析に組み入れられた。
・参加者のうち、1,756人(70.6%)が少なくとも1回のMRIスクリーニング検査を受け、732人(29.4%)は受けなかった。
・1,756人における平均MRIスクリーニング検査回数は4.7[1~16]回で、2回以上の検査を受けた1,365人における検査間の平均間隔は0.95[0.1~6.0]年であった。
・平均追跡期間9.2[0.1~24.5]年において、344人(13.8%)が乳がんを発症し、35人(1.4%)が乳がんにより死亡した。
・MRIサーベイランスへの参加と関連した乳がん死亡率の年齢調整HRは、BRCA1変異陽性者では0.20(95%CI:0.10~0.43、p<0.001)、BRCA2変異陽性者では0.87(95%CI:0.10~17.25、p=0.93)であった。
著者らは、「BRCA1変異陽性の女性において、MRIサーベイランスは乳がん死亡率の有意な低下と関連することが示唆された。BRCA2変異陽性の女性においても同様のベネフィットが得られるかについては、さらなる研究が必要」と結論付けている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)