これまでの研究で、植物性食品を多く摂取し、動物性食品を少なく、あるいはまったく摂取しないヴィーガン食は、骨密度の低下や骨折リスクの上昇に関連する可能性が示唆されている。しかし、植物性食品の質については区別されていなかった。スペイン・マドリード自治大学のMercedes Sotos-Prieto氏らは、閉経後の女性において、植物性食品の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。JAMA Network Open誌2024年2月29日号掲載の報告。
研究者らは、1984~2014年に米国のNurses' Health Studyに参加した7万285例の閉経後女性を対象に、植物性食品(菜食主義とは限らず雑食主義も含む)の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。データは2023年1月1日~7月31日に解析された。
股関節骨折は2年ごとのアンケートで自己報告、食事内容は調査票を用いて4年ごとに評価した。食事の質は「健康的な植物性食品」(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類、植物油、茶/コーヒー)、「健康的でない植物性食品」(ジュース、甘味飲料、精製穀物、イモ類、菓子/デザート)、「動物性食品」に分類したうえでPlant-Based Diet Indexスコアに換算して最高五分位から最低五分位までを算出し、それぞれの股関節骨折リスクのハザード比(HR)を求めた。
主な結果は以下のとおり。
・7万285例の参加者は、ベースライン時の平均年齢54.92(SD 4.48)歳、全員が白人女性だった。研究期間中および最長30年間の追跡期間中に2,038例の股関節骨折が報告された。
・「健康的な植物性食品」摂取が最も多い群と少ない群の比較(HR:0.97、95%信頼区間[CI]:0.83~1.14)、「健康的でない植物性食品」摂取が最も多い群と少ない群の比較(HR:1.02、95%CI:0.87~1.20)のいずれも、股関節骨折リスクとは関連しなかった。
・一方、最近の食事に絞って検討すると「健康的な植物性食品」摂取は股関節骨折リスクの21%低下(HR:0.79、95%CI:0.68~0.92)と、「健康的でない植物性食品」は28%上昇(HR:1.28、95%CI:1.09~1.51)と関連した。
研究者らは「本コホート研究の結果より、長期的に摂取された植物ベースの食事の内容は、股関節骨折リスクとは関連しないことが示された。最近の食事摂取で観察された関連が、これらの食事パターンの短期的な影響によるものかは、今後の研究で明らかにすべきである」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)