朝食を抜く、早食いをする、間食をするといった食習慣が2型糖尿病の発症と関連することが欧米の研究で示されている。本邦においても食習慣と糖尿病発症の関係が検討されており、朝食を抜く、早食いをするといった食習慣が2型糖尿病の発症と関連するという報告がある1,2)。ただし、これらの研究にはサンプルサイズが小さい、もしくは追跡期間が短いといった限界が存在していた。そこで、京都府立医科大学の豊國 恵麻氏らの研究グループは、日本人約13万例を対象に、追跡期間10年間のコホート研究を実施した。その結果、とくにBMI 25kg/m2未満の集団では、早食いをする、就寝前2時間以内に夕食を食べるといった食習慣が2型糖尿病のリスクとなることが示された。本研究結果は、Journal of Diabetes Investigation誌オンライン版2024年4月2日号で報告された。
研究グループは、2008~18年に健診を受けた糖尿病罹患歴のない12万8,594例を対象としたコホート研究(パナソニックコホート研究)を実施した。対象者を最長10年間追跡し、食習慣(朝食を抜くことが週に3回以上ある、食べる速度が速い/普通/遅い、夕食後の間食が週に3回以上ある、就寝前2時間以内に夕食を食べることが週に3回以上ある)と2型糖尿病の発症の関係を検討した。また、BMI別(25kg/m2未満/超)に同様の検討を行った。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中(平均追跡期間:6.4年)に6,729例(5.9%)が2型糖尿病を発症した。
・朝食を抜く、早食いをする、夕食後に間食をする、就寝前2時間以内に夕食を食べるといった食習慣は2型糖尿病の発症リスクを有意に上昇させた。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
-朝食を抜く:1.33、1.24~1.43
-早食いをする(対照:ゆっくり食べる):1.96、1.73~2.21
-普通の速さで食べる(同上):1.39、1.23~1.57
-夕食後に間食をする:1.07、1.003~1.14
-就寝前2時間以内に夕食を食べる:1.08、1.03~1.14
・BMI 25kg/m2未満の集団では、早食いをする(HR:1.61、95%CI:1.37~1.90)、就寝前に夕食を食べる(同:1.09、1.02~1.17)といった食習慣が2型糖尿病の発症リスクを有意に上昇させた。
・BMI 25kg/m2以上の集団では、早食いをする(HR:1.08、95%CI:0.89~1.30)、就寝前2時間以内に夕食を食べる(同:0.94、0.88~1.01)といった食習慣は2型糖尿病の発症との関連が認められなかった(それぞれp for interaction=0.0007、0.007)。
(ケアネット 佐藤 亮)