高リスクのHR+/HER2-早期乳がんに対する術前療法として、レトロゾール+アベマシクリブ12ヵ月投与を化学療法と比較した第II相無作為化非盲検CARABELA試験で、主要評価項目であるResidual Cancer Burden(RCB)インデックス0~Iの割合は達成できなかったが、臨床的奏効率(CRR)は同様であった。スペイン・Instituto de Investigacion Sanitaria Gregorio MaranonのMiguel Martin氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。
・対象: HR+/HER2-、Ki67≧20%、StageII/IIIの乳がん
・試験群(レトロゾール+アベマシクリブ群):レトロゾール2.5mg+アベマシクリブ300mg±LHRHアナログを12ヵ月投与(100例)
・対照群(化学療法群):アントラサイクリン(4サイクル)→タキサン(weeklyパクリタキセルを12サイクルもしくは3週ごとドセタキセルを4サイクル)(100例)
・層別化基準:TMN Stage(II vs.III)、閉経の有無、Ki67(<30% vs.≧30%)
・評価項目:
[主要評価項目]RCBインデックス0~Iの割合
[副次評価項目]MRIによるCRR、RCBインデックスの分布、RCBインデックス中央値、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・レトロゾール+アベマシクリブ群と化学療法群で年齢中央値は共に53歳、閉経後が56%と58%、StageIIが78%と80%、Ki67≧30%が78%と76%であった。
・RCBインデックス0~Iの割合は、レトロゾール+アベマシクリブ群が13%(95%信頼区間:7~21)で化学療法群の18%(同:12~26)と同等ではなかった。
・RCBインデックスの中央値は、レトロゾール+アベマシクリブ群が2.8、化学療法群が1.9だった(p=0.0182)。
・RCBインデックスの分布は、レトロゾール+アベマシクリブ群(98例)で0~Iが13例、IIが60例、IIIが25例、化学療法群(98例)で順に18例、57例、23例だった(p=0.62)。
・CRRはレトロゾール+アベマシクリブ群78%、化学療法群71%で有意差はなかった(p=0.26)。
・有害事象による治療中止は、レトロゾール+アベマシクリブ群9例(9%)、化学療法群 4例(4%)であった。
現在、レトロゾール+アベマシクリブで最大のベネフィットを得られる患者を同定するべく、分子的研究を実施中。
(ケアネット 金沢 浩子)