治療抵抗性うつ病に対するドパミンパーシャルアゴニスト(アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazine)による抗うつ効果増強療法は、これまでのネットワークメタ解析において比較されている。しかし、これら薬剤の用量反応の有効性比較は、十分に行われていなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、用量反応関係を推定し、各ドパミンパーシャルアゴニストの効果を、用量別に比較した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2024年4月19日号の報告。
2023年1月1日までに公表された研究を、各種データベース(Cochrane Library、PubMed、CINHAL、ClinicalTrials.gov)より、システマティックにレビューした。対象には、治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineを評価した二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を含めた。変量効果用量反応モデルに基づくネットワークメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・各薬剤の最大有効用量は、アリピプラゾールで5.5mg、ブレクスピプラゾールで1.6mg、cariprazineで1.5mgであった。
・3剤すべての用量において、プラセボと比較し、有意に有効であった。
・アリピプラゾール5.5〜12.5mgは、ブレクスピプラゾール0.5mgおよびcariprazine 0.5〜1mgよりも有意に有効であった。
・アリピプラゾール7.5〜12.5mgは、cariprazineのすべての用量よりも有意に有効であった。
・ブレクスピプラゾール1〜3mgは、cariprazine 0.5mgよりも有意に有効であり、ブレクスピプラゾール1.6〜2.5mgは、cariprazine 1mgよりも有意に有効であった。
・ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールより優れた用量はなく、cariprazineは、アリピプラゾールまたはブレクスピプラゾールよりも優れた用量はなかった。
著者らは「治療抵抗性うつ病に対するドパミンパーシャルアゴニストは、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineの順で有効であり、最大有効用量は、それぞれ5.5mg、1.6mg、1.5mgであった」としている。
(鷹野 敦夫)