お知らせがあります

2024/07/10
7月10日より「Web講演会」「CARENQ」の送信元メールアドレスを変更いたしました。
■変更前:seminar@carenet.co.jp、enquete@carenet.co.jp
■変更後:seminar@www.carenet.com、enquete@www.carenet.com
メールアドレスまたはドメインによる受信拒否や振り分けなどを設定されている方は、設定の変更をお願いいたします。

転移大腸がん1次治療のニボルマブ+イピリムマブ、PFS2も良好(CheckMate 8HW)/ASCO2024

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/06/06

 

 肺がん、胃がんなど幅広い固形がんで有用性が報告されているニボルマブ+イピリムマブのレジメン。本レジメンの転移大腸がん1次治療における有用性を検証するCheckMate 8HW試験では、2024年1月に行われたASCO-GIにおいて、ニボ+イピが化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。5月31日~6月4日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・南カリフォルニア大学のHeinz-Josef Lenz氏が本試験のPFSの追加解析結果を報告した。

・試験デザイン:多施設共同ランダム化非盲検第III相試験
・対象:高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)切除不能または転移大腸がん(mCRC)、ECOG 0~1
・試験群(ニボ+イピ群):ニボルマブ(240mg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4サイクル後、ニボルマブ(480mg)を4週ごと投与 202例
・対照群(化学療法群):医師選択による化学療法±標的療法 101例
病勢進行または許容できない毒性が認められるまで(全群)、または最長2年間(ニボ+イピ群)継続。化学療法中に進行した患者はニボ+イピへのクロスオーバーを許可(試験にはニボ単剤群も設定されているが、今回の解析には含まれない)。
・評価項目:
[主要評価項目]PFS:1次治療におけるニボ+イピ群vs.化学療法群(今回の発表)、全期間におけるニボ+イピ群vs.ニボ単剤群
[副次評価項目]安全性、PFS2(無作為化から後続全身療法後の病勢進行、2番目の後続全身療法の開始、あるいは死亡までの期間:今回の発表)、全生存期間(OS)など

 主な結果は以下のとおり。

・ニボ+イピ群(202例)または化学療法群(101例)に無作為に割り付けられた303例のうち、ニボ+イピ群171例、化学療法群84例がMSI-H/dMMRと確認された。
・追跡期間中央値31.5ヵ月(SD 6.1~48.4)時点のPFS中央値は、ニボ+イピ群が未到達(95%信頼区間[CI]:38.4~未到達)、化学療法群が5.9ヵ月(95%CI:4.4~7.8)、ハザード比(HR)は0.21(97.91%CI:0.13~0.35、p<0.0001)で、ニボ+イピ群が有意に延長した。設定されたすべてのサブグループでも同様の結果だった。
・ニボ+イピ群20例(12%)、化学療法群57例(68%)が後続全身療法に移行した。化学療法群は56例(67%)が免疫療法を受け、うち39例(46%)は試験中にニボ+イピにクロスオーバーし、17例(20%)は試験外の免疫療法を受けた。
・後続全身療法を含めたPFS2中央値はニボ+イピ群で未到達、化学療法群で29.9ヵ月、HRは0.27(95%CI:0.17~0.44)とクロスオーバー後もニボ+イピ群が優位であり、1次治療でニボ+イピを実施する有用性が示された。1年PFS2率はニボ+イピ群89%、化学療法群65%、2年PFS2率はニボ+イピ群83%、化学療法群52%だった。
・Grade3/4の治療関連有害事象はニボ+イピ群で46例(23%)、化学療法群で42例(48%)発生し、ニボ+イピ群で2例の治療関連死亡があったが、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

 Lenz氏は「化学療法と比較した1次治療のニボ+イピの臨床的利点は、その後の治療後も維持され、新たな安全性の懸念は確認されなかった。これらの結果により、MSI-H/dMMR大腸がん患者に対する1次治療としてニボ+イピがさらに支持される」とした。ニボ+イピ群とニボ単剤群との比較データは今後発表される。

(ケアネット 杉崎 真名)

参考文献・参考サイトはこちら