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高リスク早期TN乳がんに術後アベルマブ1年投与でOS改善、DFSは改善せず(A-BRAVE)/ASCO2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/14

 

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における抗PD-L1抗体アベルマブ1年投与の術後補助療法は、観察群と比べ無病生存期間(DFS)を有意に改善しなかったが、全生存期間(OS)を有意に改善した。医師主導で実施された多施設共同無作為化第III相A-BRAVE試験の結果について、イタリア・Padova大学のPierfranco Conte氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

・対象:治癒目的で手術および術前/術後化学療法を完了した高リスクのTNBC
 A層-手術後、pN1/pT2、pN0-3/pT3-4、pN2-3/any pT
 B層-術前化学療法後、乳房/腋窩リンパ節に浸潤性残存病変あり
・試験群:アベルマブ(10mg/kg静注)を2週ごと52週間投与
・対照群:観察
・評価項目:
[主要評価項目]DFS、B層におけるDFS
[副次評価項目]OS、PD-L1陽性例におけるDFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2016年6月~2020年10月にイタリアの64施設および英国の6施設から477例が登録され、無作為に割り付けられた。直後に11例が同意を取り下げたため、アベルマブ群235例、対照群231例で試験開始した。A層はアベルマブ群40例/対照群43例、B層はアベルマブ群195例/対照群が188例だった。
・追跡期間中央値52.1ヵ月において、3年DFS率はアベルマブ群が68.3%と対照群63.2%より5.1%増加したが、DFSの有意な改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.61~1.09、p=0.172)。B層における3年DFS率についても、6.2%増加したが有意な改善はみられなかった(HR:0.80、95%CI:0.58~1.10、p=0.170)。
・3年OS率はアベルマブ群が84.8%と対照群76.3%より8.5%増加し、OSの有意な改善が認められた(HR:0.66、95%CI:0.45~0.97、p=0.035)。
・事後探索的解析の遠隔無病生存期間(DDFS)において、3年DDFS率がアベルマブ群で7.5%改善し、有意な改善が認められた(HR:0.70、95%CI:0.50~0.96、p=0.0277)。
・アベルマブ群における有害事象による投与中止は20例(30.8%)で、そのうち免疫関連有害事象による投与中止は17例だった。

 Conte氏は、「遠隔転移リスクが30%減少し、死亡リスクが34%減少したことから、術前療法後に浸潤性残存病変あり、もしくは術後に高リスクの早期TNBC患者において、アベルマブが役割を有する可能性が示唆される」とまとめた。

(ケアネット 金沢 浩子)

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