お知らせがあります

2024/06/27
7月10日より「Web講演会」「CARENQ」の送信元メールアドレスを変更いたします。
■変更前:seminar@carenet.co.jp、enquete@carenet.co.jp
■変更後:seminar@www.carenet.com、enquete@www.carenet.com
メールアドレスまたはドメインによる受信拒否や振り分けなどを設定されている方は、設定の変更をお願いいたします。

くも膜下出血の発症リスクが上がる/下がる薬は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/06/17

 

 オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJos P. Kanning氏らは、動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH:aneurysmal subarachnoid hemorrhage)の発症リスクを下げるとされる処方薬として、5剤(リシノプリル[商品名:ロンゲスほか]、アムロジピン[同:アムロジンほか]、シンバスタチン[同:リポバスほか]、メトホルミン[同:メトグルコほか]、タムスロシン[同:ハルナールほか])を明らかにした。一方で、aSAHの発症に関連している可能性がある薬剤についても示唆した。Neurology誌オンライン版2024年6月25日号掲載の報告。

 研究者らは、処方薬とaSAH発症リスクとの関連性を体系的に調査するため、drug-wide association study(DWAS)を実施。Secure Anonymised Information Linkage(SAIL)データバンクの1982年1月1日以前に生まれた患者を研究対象とし、ICD-9およびICD-10を用いて2000~20年までの全aSAH症例を抽出した。さらに、各症例を年齢、性別で9つの対照群と無作為にマッチングさせ、さらに症例と対照の観察期間を比較できるようデータベースへの登録年を基にマッチングさせた。本研究集団の2%超に処方された薬剤を調査し、インデックス日(aSAH発生)前で、処方に関連する曝露期間を重複しないように3つ定義付けした(現在:インデックス日から3ヵ月以内、最近:インデックス日から3〜12ヵ月、過去:インデックス日から12ヵ月より前)。また、年齢、性別のほか、交絡因子の調整のためaSAHと薬物曝露に関連するであろう変数として、既知のaSAHリスク因子(喫煙状況、高血圧の有無、飲酒、BMI)についてコントロールし、インデックス日以前の1年間のヘルスケアの利用(かかりつけ医への来院数など)も評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・aSAH群4,879例(平均年齢±SD:61.4±15.4歳、女性:61.2%)と対照群4万3,911例を照合した。
・aSAH症例群は対照群よりもかかりつけ医の受診回数が多く(平均受診回数:23回vs.19回)、インデックス日以前の喫煙率(37% vs.21%)や高血圧症の既往(42% vs.37%)も高かった。
・本研究中に特定された2,023種類の薬剤のうち、205種類(10.1%)が共通して処方されていた。
・二項ロジスティック回帰分析でボンフェローニ補正を用いたところ、現在服用中でaSAH発症リスクが低下した薬剤は、リシノプリル(オッズ比[OR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.44~0.90)、アムロジピン(OR:0.82、95%CI:0.65~1.04)であった。ただし、両者とも服用が「最近」の場合には、aSAH発症リスクが上昇(リシノプリルのOR:1.30[95%CI:0.61~2.78]、アムロジピンのOR:1.61[95%CI:1.04~2.48])し、リシノプリルとアムロジピンで同様の傾向が見られた。
・シンバスタチン(OR:0.78、95%CI:0.64~0.96)、メトホルミン(OR:0.58、95%CI:0.43~0.78)、タムスロシン(OR:0.55、95%CI:0.32~0.93)を現在服用中の場合でも、aSAH発症リスクの低下が認められた。
・対照的に、ワルファリン(商品名:ワーファリンほか、OR:1.35、95%CI:1.02~1.79)、ベンラファキシン(同:イフェクサー、OR:1.67、95%CI:1.01~2.75)、プロクロルペラジン(同:ノバミン、OR:2.15、95%CI:1.45~3.18)、Co-codamol(OR:1.31、95%CI:1.10~1.56)を現在服用中の場合、aSAH発症リスクの増加が認められた。
*アセトアミノフェン・コデインリン酸塩、国内未承認

(ケアネット 土井 舞子)