タトゥーを入れると悪性リンパ腫になりやすい

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/29

 

 近年、欧米では自己表現の1つとして思い思いのタトゥーを入れる人が増えてきている。ただ、以前からタトゥーの弊害として施術での感染症の罹患などが言われてきた。タトゥーの施術で使用されるインク成分への長期的曝露がもたらす健康への影響はほとんど理解されていないことから、スウェーデンのルンド大学医学部臨床検査部産業・環境医学部門のChristel Nielsen氏らの研究グループは、タトゥー施術と悪性リンパ腫全体およびリンパ腫亜型との関連を調査した。その結果、タトゥーのある人ではリンパ腫全体のリスクが高いことがわかった。EClinicalMedicine誌2024年5月21日号の報告。

最初のタトゥーから2年未満の人はリンパ腫のリスクが高い

 Nielsen氏らの研究グループは、スウェーデン全国がん登録に登録されている20~60歳で、2007~17年の間に悪性リンパ腫と診断された症例を同定し、症例対照研究を行った。方法としては、悪性リンパ腫患者を特定し、人口統計学的に1:3の割合でマッチングされた対照サンプルとともに、タトゥー曝露(2021年の質問表調査により評価)と悪性リンパ腫との関連を検討した。解析では、多変量ロジスティック回帰を用い、タトゥーのある人における悪性リンパ腫の発生率比(IRR)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・1万1,905例を検討し、回答率は悪性リンパ腫症例群では54%(1,398例)で、対照群では47%(4,193例)だった。うちタトゥーのある人の割合は悪性リンパ腫症例群で21%、対照群で18%だった。
・タトゥーのある人はリンパ腫全体の調整後リスクが高かった(IRR=1.21、95%信頼区間[CI]:0.99~1.48)。
・リンパ腫のリスクは、最初のタトゥーから指標年までの期間が2年未満の人で最も高かった(IRR=1.81、95%CI:1.03~3.20)。
・リスクは中等度の曝露期間(3~10年)になると減少したが、指標年の11年以上前に最初のタトゥーを入れた人では再び増加していた(IRR=1.19、95%CI:0.94~1.50)。
・タトゥーを入れた体表面の総面積が大きいほどリスクが増加するというエビデンスは、認められなかった。
・タトゥー曝露に関連するリスクは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(IRR=1.30、95%CI:0.99~1.71)と濾胞性リンパ腫(IRR=1.29、95%CI:0.92~1.82)で最も高いと示唆された。

(ケアネット 稲川 進)

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