双極性障害(BD)は、疾病負担が大きく、自殺による死亡リスクの高い疾患である。これまで、双極性障害II型(BD-II)は、BDの軽症型とされてきたが、近年の文献では、双極性障害I型(BD-I)と同様の疾病負担と自殺傾向を有するとも報告されている。カナダ・Brain and Cognition Discovery FoundationのDonovan A. Dev氏らは、BD-IIのリスクを定量化し、BD-IとBD-IIにおける自殺リスクを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年6月18日号の報告。
PRISMAガイドラインに従い、2023年6月30日までに公表された文献を、PubMed、OVID(Embase、Medline)、PsychINFOデータベースより検索した。対象文献は、事前に定義した適格基準に基づき選定した。BD-IおよびBD-IIと診断された患者の自殺リスクを比較するため、メタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・8件の研究のうち、BD-IIの自殺率がBD-Iよりも高いと報告した研究が4件、有意な差がないと報告した研究が2件であった。
・BD-Iの自殺率は、BD-IIよりも有意に高いと報告した研究は、2件であった。
・BD-Iの自殺率に対するBD-IIのプールされたオッズ比は、1.00(95%信頼区間:0.75〜1.34)であった。
著者らは「BD-IとBD-IIの自殺リスクを報告した研究は少なく、異質性がある」としながらも「BD-IIの重症度は明らかであり、自殺リスクはBD-Iとそれほど違いはなく、BD-IIで報告される抑うつ傾向、併存疾患、ラピッドサイクルは、重大な死亡リスク因子の可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)