これまでの研究で、生活習慣因子が寿命や死亡率と関連していることが多数報告されているが、そのほとんどは中高年層(60歳以上)を対象としており、80歳以上を対象とした研究はほとんどない。中国上海市・復旦大学のYaqi Li氏らによる、中国の80歳以上を対象とした、健康的なライフスタイルと100歳以上まで生きる可能性を検討した研究結果がJAMA Network Open誌2024年6月20日号に掲載された。
研究者らは、1998年に設立された80歳以上を対象とした全国的かつ最大規模のデータベース・中国縦断健康長寿調査(Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey:CLHLS)を用いて、地域ベースの前向き対照研究を実施した。データは2022年12月1日~2024年4月15日に解析された。
5つの生活習慣(喫煙、飲酒、運動、食事の多様性、BMI)に基づく総合的な健康的生活習慣スコア100(HLS-100)を作成し、スコア(0~6)と100歳以上となる可能性、健康転帰が良好である可能性との関連をみた。主要アウトカムは2018年(追跡終了時)までに100歳以上となる人の生存率であった。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定、社会人口統計学的因子(居住地、教育年数、配偶者の有無)および自己報告による慢性疾患の既往(高血圧、糖尿病、心血管疾患、がん)で調整した。
主な結果は以下のとおり。
・計5,222例(女性61.7%、平均年齢94.3[SD 3.3]歳)が組み入れられ、その内訳は100歳以上1,454例と、対照群3,768例(年齢・性別・組み入れ年でマッチ、100歳になる前に死亡)であった。
・追跡中央値5年(四分位範囲[IQR]:3~7)のあいだに100歳以上になったのは、HLS-100が最も低い群(0~2)では373/1,486例(25%)、最も高い群(5~6)では276/851例(32%)だった。
・最高群と最低群を比較した調整オッズ比(aOR)は1.61(95%CI:1.32~1.96、p<0.001)であった。さらに自己報告による慢性疾患、身体的・認知的機能、精神的健康で評価される「比較的健康な状態の100歳以上」をアウトカムとした場合もHLS-100との関連が認められた(aOR:1.54、95%CI:1.05~2.26)。
著者らは「中国の高齢者を対象としたこの症例対照研究では、健康的な生活習慣を守ることは後期高齢者であっても重要であり、すべての高齢者において生活習慣を改善するための戦略的計画を構築することが、健康的な加齢と長寿を促進するうえで重要な役割を果たす可能性が示唆された」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)