BPSDが死亡リスクに及ぼす影響~日本人コホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2024/04/29

 

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、認知症の初期段階から頻繁にみられる症状であり、軽度認知障害(MCI)でも出現することが少なくない。しかし、BPSDが予後にどのような影響を及ぼすかは不明である。国立長寿医療研究センターの野口 泰司氏らは、認知障害を有する人におけるBPSDと死亡率との関連を踏査した。Journal of epidemiology誌オンライン版2024年3月23日号の報告。

 2010~18年に国立長寿医療研究センターを受診した、初回外来患者を登録したメモリークリニックベースのコホート研究であるNCGG-STTORIES試験に参加した、MCIまたは認知症と診断された男性1,065例(平均年齢:77.1歳)および女性1,681例(同:78.6歳)を対象に、縦断的研究を実施した。死亡関連の情報は、参加者または近親者から返送された郵送調査より収集し、最長8年間フォローアップ調査を行った。BPSDは、ベースライン時にDementia Behavior Disturbance Scale(DBD)を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・フォローアップ期間中に死亡した患者は、男性で229例(28.1%)、女性で254例(15.1%)であった。
・Cox比例ハザード回帰分析では、DBDスコアが高いほど、男性で死亡リスク増加との有意な関連が認められたが(最適四分位スコア群と比較した最高四分位スコア群のハザード比:1.59、95%信頼区間[CI]:1.11~2.29)、女性では認められなかった(同:1.06、95%CI:0.66~1.70)。
・DBDの項目のうち死亡リスクの高さと関連していた項目は、日常生活に対する興味の欠如、日中の過度な眠気、治療拒否であった。

 著者らは、「認知機能低下が認められる男性において、BPSDと予後不良との潜在的な関連性が示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)