高齢者のベンゾジアゼピン中止、長期的な抑うつ症状改善に寄与

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/15

 

 カナダ・ケベック大学モントリオール校のArnaud Allary氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)の使用が、将来の抑うつ症状、不安、睡眠の質に及ぼす影響を調査した。Aging & Mental Health誌オンライン版2024年7月2日号の報告。

 大規模ランダム化比較試験(RCT)であるPASSE-60+研究よりデータを抽出した。60歳以上の参加者73例を対象に、4ヵ月間の中止プログラムを実施し、16ヵ月で4回の評価を行った。BZD使用の変化は、2回の評価時における1日当たりの投与量の差と定義した。コントロール変数は、RCT中止群、プログラム開始前でのBZD使用および抑うつ症状、不安、睡眠の質のいずれかとした。データ分析には、階層的多重回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・短期的には、中止プログラム直後にBZDの使用量減量に伴い、睡眠の質の悪化がみられた。
・この関連は、3ヵ月および12ヵ月のフォローアップ調査において有意差は消失した。
・長期的には、BZD使用量減量に伴い、抑うつ症状の軽減が認められた。
・すべての評価時点において、BZD使用量と不安の強さとの関連は認められなかった。

 著者らは「BZD中止により、抑うつ症状が改善される可能性が示唆された。不安や睡眠の質との長期的関連が認められなかったことから、BZD使用の長期有効性についても疑問が残る結果となった」としている。

(鷹野 敦夫)