うつ病や双極症の季節性は、ICD-10/11やDSM-Vにおいても認識されている。デンマーク・Mental Health Services Capital RegionのCarlo Volf氏らは、デンマーク国内におけるうつ病および双極症の診断や抗うつ薬の初回処方パターンに対する季節性の影響を評価した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年7月24日号の報告。
デンマーク患者登録(Danish National Patient Registry)より、1999~2019年にうつ病または双極症と初めて診断された患者の日付と年を検索した。疾患の定義には、うつ病はICD-10 F32-F33、双極症はF30またはF31を用いた。1999~2021年の抗うつ薬処方(ATC分類:N06A)の初めての購入の日付と年は、1995年以降に薬局で調剤されたすべての処方薬に関する情報を含む処方登録(Danish National Prescription Registry)から収集した。2012~21年の日照時間に関するデータは、デンマーク気象研究所より入手した。
主な結果は以下のとおり。
・うつ病および双極症の診断発生率と薬剤処方は、月および季節により違いが認められた。
・月ごとの変動は、抗うつ薬で最も大きく、双極症で最も小さかった。
・多重線形回帰分析では、うつ病または双極症の初回診断数は、季節と相関しないことが示唆された。
・抗うつ薬の初回処方は、冬季と比較し、夏季のほうが有意に少なかった。
著者らは「抗うつ薬の初回処方に関して、季節変動性が明らかとなった。うつ病重症度、双極症の症状やタイプ、日照時間、年間光周期の特定については、さらに調査する必要性がある」とまとめている。
(鷹野 敦夫)