久留米大学の内村 直尚氏らは、日本人不眠症患者を対象にdaridorexantの有効性および安全性を評価した国内第III相二重盲検プラセボ対症試験の結果を報告した。Sleep Medicine誌2024年10月号の報告。
対象は、国内95施設より登録された不眠症患者490例。対象患者はdaridorexant 50mg群(163例)、daridorexant 25mg群(163例)、プラセボ群(164例)にランダムに割り付けられた。4週間の治療後、7日間プラセボを投与し、30日間の安全性フォローアップ調査を実施した。主要有効性エンドポイントは、プラセボ群と比較したdaridorexant 50mg群における4週目の主観的総睡眠時間(sTST)および主観的睡眠潜時(subjective latency to sleep onset:sLSO)のベースラインからの変化とした。副次的エンドポイントとして、プラセボ群と比較したdaridorexant 25mg群における4週目のsTSTおよびsLSOも評価した。安全性エンドポイントは、有害事象およびVAS(Visual Analog Scale)による翌朝の眠気を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・daridorexant 50mg群は、プラセボ群と比較し、sTSTの有意な増加、sLSOの有意な減少を認めた。
【sTST】最小二乗平均差(LSMD):20.3分、95%信頼区間(CI):11.4~29.2、p<0.001
【sLSO】LSMD:−10.7分、95%CI:−15.8~−5.5、p<0.001
・daridorexant 25mg群においても、プラセボ群と比較し、有意な改善が認められた。
【sTST】LSMD:9.2分、95%CI:0.3~18.1、p=0.042
【sLSO】LSMD:−7.2分、95%CI:−12.3~−2.0、p=0.006
・全体的な有害事象の発生率は、群間で同様であり(50mg群:22%、25mg群:18%、プラセボ群:23%)、最も多い有害事象は眠気であり、用量依存性が認められた(50mg群:6.8%、25mg群:3.7%、プラセボ群:1.8%)。
・しかし、daridorexant群は、翌朝の眠気のVAS値を増加させることはなかった。
・治療中止後のリバウンドや離脱関連症状は認められなかった。
著者らは「日本人不眠症患者に対するdaridorexantは、忍容性が良好で、主観的な睡眠アウトカムの有意な改善を示した。また、残留効果は認められなかった」とまとめている。
(鷹野 敦夫)