他の睡眠薬からレンボレキサントへの切り替え効果~SLIM研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/04

 

 ほりこし心身クリニックの堀越 翔氏らは、他の睡眠薬からデュアルオレキシン受容体拮抗薬レンボレキサント(LEB)への切り替えによる有効性および安全性を評価するため、本研究を行った。その結果、他の睡眠薬からLEBに切り替えることで、ベンゾジアゼピン(BZD)、Z薬に関連するリスクが低下する可能性が示唆された。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2023年5月30日号の報告。

 対象は2020年12月~2022年2月に、ほりこし心身クリニックを受診した不眠症患者61例。アテネ不眠症尺度(AIS)、エプワース眠気尺度(ESS)、Perceived Deficits Questionnaire-5 item(PDQ-5)を含む診療記録から得られた臨床データを分析した。切り替え前の睡眠薬には、BZD、Z薬、スボレキサント、ラメルテオン、ミルタザピン、トラゾドン、抗精神病薬を含めた。主要アウトカムは、LEBへの切り替え3ヵ月後のAISスコアの平均変化とした。副次的アウトカムは、LEBへの切り替え3ヵ月後のESSスコアおよびPDQ-5スコアの平均変化とした。また、切り替え前後のジアゼパム換算量の比較も行った。

 主な結果は以下のとおり。

・LEBへの切り替え後3ヵ月間、平均AISスコアの減少が認められた。
 【1ヵ月後】-2.98±5.19(p<0.001)
 【2ヵ月後】-3.20±5.64(p<0.001)
 【3ヵ月後】-3.38±5.61(p<0.001)
・平均ESSスコアは、切り替え3ヵ月間で有意な変化が認められなかった。
 【1ヵ月後】-0.49±3.41(p=0.27)
 【2ヵ月後】0.082±4.62(p=0.89)
 【3ヵ月後】-0.64±4.80(p=0.30)
・平均PDQ-5スコアは、切り替え3ヵ月間で有意な改善が認められた。
 【1ヵ月後】-1.17±2.47(p=0.004)
 【2ヵ月後】-1.05±2.97(p=0.029)
 【3ヵ月後】-1.24±3.06(p=0.013)
・総ジアゼパム換算量の有意な減少が観察された(ベースライン時:14.0±20.2、切り替え3ヵ月後:11.3±20.6、p<0.001)。

(鷹野 敦夫)