高齢者における急性単純性虫垂炎の最適な治療戦略を検討した2万人以上の高齢者を対象としたコホート研究により、即時虫垂切除(入院後1日以内)が非手術的管理より院内死亡率が低いことが示された。また、遅延虫垂切除(入院後1日超)は院内死亡率および合併症発生率が高かった。米国・University of Southern CaliforniaのMatthew Ashbrook氏らが、JAMA Network Open誌2024年8月26日号で報告した。
本研究は、米国における退院患者の約20%の診療報酬データベースであるNational Inpatient Sampleデータから、2016年1月1日~2018年12月31日に単純性虫垂炎と診断された65歳以上の患者データを使用した後ろ向きコホート研究である。患者を非手術的管理、即時虫垂切除、遅延虫垂切除の3群に分類し、院内死亡率、院内合併症発生率などの臨床アウトカムについて、フレイルと非フレイルに分けて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・計2万4,320例が同定され(年齢中央値:72歳[四分位範囲:68~79]、女性:50.9%)、7,290例(30.0%)がフレイルに分類された(フレイルインデックスで評価)。
・全体の院内死亡率は1.4%、合併症発生率は37.3%であった。
・多変量解析により、フレイル患者における院内死亡率は、非手術的管理(オッズ比[OR]:2.89、95%信頼区間[CI]:1.40~5.98、p<0.001)と遅延虫垂切除(OR:3.80、95%CI:1.72~8.43、p<0.001)とも即時虫垂切除より高かった。
・非フレイル患者における合併症発生率は、即時虫垂切除が非手術的管理より高く(OR:0.77、95%CI:0.64~0.94、p=0.009)、遅延虫垂切除より低かった(OR:2.05、95%CI:1.41~3.00、p<0.001)。
単純性虫垂炎の高齢者を対象としたこの研究では、フレイルと非フレイルによってアウトカムが異なっていた。著者らは「高齢者の急性単純性虫垂炎には即時虫垂切除が好ましい可能性が示唆された」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)