アスピリンによる大腸がん予防効果、肥満・喫煙者に恩恵大

アスピリンに大腸がんの予防効果があることが過去に報告されているが、新たなデータによると、アスピリンは不健康な生活習慣を持つ人、とくに肥満や喫煙者で予防効果が高いことが示唆されたという。米国・マサチューセッツ総合病院のDaniel R. Sikavi氏らによる本研究は、JAMA Oncology誌オンライン版2024年8月1日号に掲載された。
研究者らは、看護師健康調査(1980~2018年)に参加した女性6万3,957例と、医療専門家追跡調査(1986~2018年)に参加した男性4万3,698例の長期追跡データを用いた前向きコホート研究を実施した。定期的なアスピリンの使用(標準的な325mg錠を2錠/週以上)を分析、BMI、アルコール摂取量、身体活動、食事、喫煙に基づいて参加者の生活習慣スコア(0~5)を計算し、スコアが高いほど健康的なライフスタイルと定義した。主要評価項目は10年間の大腸がん累積発生率、アスピリン使用に関連した絶対リスク減少(ARR)、治療必要数などだった。データ解析は2021年10月1日~2023年5月22日に行った。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時の参加者の平均年齢は49.4(SD 9.0)歳であった。303万8,215人年の追跡期間中に2,544例の大腸がん発症があった。
・10年間の大腸がん累積発症率は、アスピリンを定期的に使用している人は1.98%(95%信頼区間[CI]:1.44~2.51)であったのに対し、非使用者は2.95%(95%CI:2.31~3.58)であり、ARRは0.97%だった。
・アスピリン使用に関連した10年間のARRは、最も不健康な生活習慣スコアの人で最大(スコア0~1のARR:1.28%)となり、生活習慣スコアが健康的になるにつれ減少した(スコア4~5のARR:0.11%)(p<0.001)。
・10年間のアスピリンに関連した治療必要数は、生活習慣スコア0〜1では78人、スコア2では164人、スコア3では154人、スコア4〜5では909人であった。
・健康的な生活習慣スコアの要素の中で、BMIが高いことと喫煙は、アスピリンの使用による大腸がんリスクの大幅な低下と相関していた。
研究者らは「これらの結果は、アスピリンによるがん予防にとってより好ましいプロファイルを持つ可能性のある個人を特定するために、ライフスタイルのリスク要因を使用することを支持するものだ」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)
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