過去20年間の生活習慣の変化により、若者ががんの危険因子にさらされる機会が増えている可能性があるが、データベースによる研究報告はない。今回、イタリア・Institute of Biochemistry and Cell Biology, National Council of ResearchのAlessandro Cavazzani氏らが、米国・国立がん研究所のがん登録データベース(SEER22)を用いて、部位別のがん罹患率の2000~20年の傾向を調べたところ、18~26歳の女性における膵がん罹患率の平均年変化率が最も高く、年に10%近く増加していた。BMC Medicine誌2024年9月4日号に掲載。
本研究では、SEER22から2000~20年のがん罹患データ(1,018万3,928例)を収集し、膵がん、胃がん、肺/気管支がん、脳/その他の神経系のがん、骨髄腫、大腸がん、悪性黒色腫、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、精巣がんの罹患率の平均年変化率を、性別・年代別(18~34歳、35~54歳、55歳以上)に算出した。さらに18~34歳を18~26歳および27~34歳に分けて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・すべてのがんの中で18~34歳の女性の膵がん罹患率の平均年変化率が6.22%(95%信頼区間[CI]:5.2~7.24、p<0.0001)と最も高かった。
・胃がん、多発性骨髄腫、大腸がんにおいても、18~34歳の女性が最も高かった。
・18~34歳の年代を18~26歳と27~34歳に分けて算出すると、18~26歳における膵がん罹患率の平均年変化率は、女性が9.37%(95%CI:7.36~11.41、p<0.0001)と、男性の4.43%(95%CI:2.36~6.53、p<0.0001)に比べて2倍以上だった。27~34歳の女性(4.46%、95%CI:3.62~5.31、p<0.0001)は男性と同様だった。
著者らは、「致死率の高いがんにおける新たなリスク集団を知ることは、早期発見と効果的な疾患管理のためにきわめて重要」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)