小児および青年における心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するトラウマ関連のネガティブな影響の評価の重要性が、これまでの研究で示唆されている。PTSDの認知モデルでは、治療メカニズムがこれらの評価の軽減に有用であるといわれている。英国・イースト・アングリア大学のCharlotte Smith氏らは、PTSDに対する心理療法が、小児および青年のトラウマ関連のネガティブな評価をどの程度軽減するかを調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Behaviour Research and Therapy誌2024年11月号の報告。
2022年12月11〜12日に、4つのデータベース(PsycINFO、Medline Complete、CINAHL Complete、PTSDpubs)より検索を行った。バイアスリスクを評価するため、ROB-2評価ツールを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・本レビューには、13研究、小児および青年937例を含めた。
・ランダム効果モデルを用いたメタ解析では、現在の治療法がトラウマ関連の評価に及ぼす影響は、統合エフェクトサイズが中程度であることが示唆された(g=−0.67、95%信頼区間:−0.86〜−0.48)。
・研究間の異質性は中程度であり(I2=44.4%)、これらの結果を解釈するうえで、信頼性は向上した。
著者らは「レビューに含まれた試験のすべてが、バイアスリスクが低いと分類されなかったことに留意する必要はあるが、本結果は、小児および青年のPTSDに対する心理療法は、トラウマ関連のネガティブな評価を有意に軽減することを示唆している」としている。
(鷹野 敦夫)