フィンランド・トゥルク大学のHanna Sarkila氏らは、新たにベンゾジアゼピン(BZD)を使用した患者におけるBZDの高用量使用と関連する社会人口学的および臨床的要因を調査した。BJPsych Open誌2024年9月23日号の報告。
対象は、2004〜05年にBZD未使用で、2006年に使用を開始した18〜65歳の新規BZD使用患者。フォローアップ期間は、5年または死亡までとした。BZDの用量は、PR E2DUP法に基づき、開始後6ヵ月ごとに1日当たりの定義済み1日用量(DDD)とし、ポイント推定値を算出した。用量カテゴリーに関連する社会人口学的および臨床的要因は、多項ロジスティック回帰を用いて調査した。
主な結果は以下のとおり。
・5年間のフォローアップ期間中、BZDの超高用量使用(ジアゼパム換算量30mg以上)率は7.4%(3,557例)、中程度の高用量使用(ジアゼパム換算量10〜29mg)率は25.5%(1万2,266例)であった。
・超高用量使用は、女性(4.6%)よりも男性(10.9%)で多く認められた。
・超高用量使用パターンは、とくに若年層(18〜25歳)で多かった。
・クロナゼパム(調整オッズ比[aOR]:3.86、95%信頼区間[CI]:3.24〜4.60)、ジアゼパム(aOR:2.05、95%CI:1.78〜2.36)、アルプラゾラム(aOR:1.76、95%CI:1.52〜2.03)で治療を開始すると、oxazepamで開始した場合と比較し、超高用量使用のオッズ比が上昇した。
・中程度の高用量および超高用量によるBZD使用は、教育レベルの低さと関連が認められた。
・全体として、超高用量使用の58%は、一般開業医で最初に処方されたBZD使用患者でみられた。
著者らは「クロナゼパム、ジアゼパム、アルプラゾラムを処方する場合には、用量増加リスクに注意する必要がある」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)