香川大学の中村 祐氏らは、日本人アルツハイマー病患者におけるアジテーション(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の治療に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価した。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2024年10月6日号の報告。
本研究は、第II/III相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験として実施された。アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者は、ブレクスピプラゾール1mg/日群または2mg/日群、プラセボ群に3:4:4でランダムに割り付けられ、10週間投与を行った。主要エンドポイントは、ベースラインから10週目までのCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)合計スコアの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・CMAI合計スコアの変化は、ブレクスピプラゾール1mg/日群および2mg/日群において、プラセボ群と比較し、統計学的に有意な改善が認められた。
【ブレクスピプラゾール2mg/日群】最小二乗平均差:−7.2、95%信頼区間[CI]:−10.0〜−4.3、p<0.0001
【ブレクスピプラゾール1mg/日群】最小二乗平均差:−3.7、95%CI:−6.8〜−0.7、p=0.0175
・治療関連有害事象の発生率は、ブレクスピプラゾール1mg/日群で76.8%、2mg/日群で84.6%、プラセボ群で73.8%であり、ブレクスピプラゾールの忍容性は、おおむね良好であった。
著者らは「アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する日本人患者に対するブレクスピプラゾール1mg/日および2mg/日による10日間治療は、有効性および忍容性が良好であることが確認された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)