ベリー類、お茶(紅茶・緑茶)、赤ワイン、ダークチョコレートなどの食品や飲料に含まれるフラボノイドの摂取量と、認知症リスクの関連について、英国・クイーンズ大学ベルファスト校のAmy Jennings氏らが調査を実施した。本研究は英国の約12万人を対象に実施され、フラボノイドが豊富な食品を日常的に摂取することで、認知症リスクを大幅に低減することが示唆された。JAMA Network Open誌2024年9月18日号掲載の報告。
本研究は、2006~10年のUKバイオバンクのデータを使用し、40~70歳の12万1,986例が対象となった。追跡期間は平均9.2年(標準偏差[SD] 1.5)で、2023年9月にデータ解析が行われた。参加者の食事データについて、206種類の食品と32種類の飲料の消費頻度が、食事評価アンケートを用いて記録され、合計5回の評価が行われた。食事評価データを2回以上有し、食事評価期間に認知症と診断されていない参加者が選出された。
食事評価データから、フラボノイド摂取量が算出された。主なフラボノイド供給源は、お茶、赤ワイン、ベリー類、リンゴ、ブドウ、柑橘類、ピーマン、タマネギ、ダークチョコレートだった。フラボダイエットスコアは、フラボノイドを豊富に含む食品の1日当たりの摂取量(サービング数)とした。認知症リスクとフラボノイド摂取の関連を評価するため、Cox比例ハザード回帰モデルが使用された。
主な結果は以下のとおり。
・参加者12万1,986例の平均年齢は56.1(SD 7.8)歳、女性55.6%。中央値9.4年(IQR 9.3~9.8)の追跡期間中に、882例の新たな認知症発症が確認された。
・1日当たりのフラボダイエットスコアの中央値は4.3(IQR 2.8~5.9)で、そのうち中央値2.7(IQR 1.0~4.0)はお茶からだった。
・参加者をフラボダイエットスコアで5段階に分け、最も高い群(中央値7.3[IQR 0.0~8.1])と、最も低い群(中央値1.4[IQR 0.8~1.9])を比較した。最も高い群のほうが認知症リスクの低下が認められた。調整ハザード比(aHR):0.72、95%信頼区間[CI]:0.57~0.89、傾向のp=0.03。
・最も高い群において、お茶、赤ワイン、ベリー類の中央値摂取量は、それぞれ1日当たりお茶5(IQR 4.0~5.6)、赤ワイン0(0.0~1.0)、ベリー類0.5(0.0~1.0)で、これらの摂取量を満たしていない群と比較して、認知症リスクの低下が認められた。aHR:0.62、95%CI:0.46~0.84。
・以下のサブグループ解析でも、フラボダイエットスコアが最も高い群は、最も低い群と比較して、いずれも認知症リスクの低下が認められた。
遺伝的に認知症リスクが高い参加者において、aHR:0.57、95%CI:0.42~0.78。
うつ症状がある参加者において、aHR:0.52、95%CI:0.33~0.81。
高血圧のある参加者において、aHR:0.70、95%CI:0.52~0.94。
本結果により、フラボノイドを豊富に含む食事スコアが高いほど認知症リスクが低くなり、とくに、遺伝的リスクが高い人、うつ症状、高血圧症のある人でリスクの低下が顕著に認められた。お茶やベリー類などを日常の食事に取り入れることで、高リスク者でも認知症リスクが低下する可能性が示唆された。
(ケアネット 古賀 公子)