薬物乱用頭痛の治療に対する予防薬の必要性については、議論の余地が残っている。中国・雲南大学のFanyi Kong氏らは、薬物乱用の改善を含む、薬物乱用頭痛の治療に利用可能な薬剤の相対的なベネフィットおよび安全性を評価するため、本研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年10月7日号の報告。
薬物乱用頭痛に対するさまざまな薬剤の効果を比較するため、文献検索を通じて、ランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施した。介入効果の比較をランク付けするため、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。アウトカムのベースラインからの改善には、治療反応率(頭痛頻度50%以上の減少)、急性薬物乱用の改善率、1ヵ月当たりの頭痛および急性期治療薬の減少を含めた。エビデンスの信頼性の評価には、Grading of Recommendations, Assessment, Development & Evaluation(GRADE)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・スクリーニングした8,248件のうち、28件を分析対象に含めた。
・トピラマートは、プラセボと比較し、治療反応率(オッズ比[OR]:4.93)、頭痛頻度(加重平均差[WMD]:−5.53)、急性期治療薬使用(WMD:−6.95)に有益であり、忍容性、有害事象の増加などの安全性(OR:0.20)も良好であった。
・フレマネズマブ(OR:3.46〜3.07)、ガルカネズマブ(OR:2.95)、A型ボツリヌス毒素(OR:2.57)は、治療反応率が高かった。
・急性薬物乱用の改善は、eptinezumab(OR:2.75 〜2.64)、フレマネズマブ(OR:1.87〜1.57)、A型ボツリヌス毒素(OR:1.55)がプラセボよりも優れていた。
・eptinezumab(OR:3.84〜3.70)、フレマネズマブ(OR:2.60〜2.49)、エレヌマブ140mg(OR:2.44)、A型ボツリヌス毒素(OR:2.16)は、エレヌマブ70mgよりも有効性が高く、安全性および忍容性に差は認められなかった。
著者らは「薬物乱用頭痛の治療反応率向上には、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumabが有望であった。急性薬物乱用の改善には、eptinezumabが最も有効で、次いでフレマネズマブであった。A型ボツリヌス毒素は、治療反応率を中程度で改善し、急性薬物乱用の改善に小さな効果が認められた」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)