チリ・ディエゴポルタレス大学のAdrian P. Mundt氏らは、精神科病床の必要数を推定し、これが時間経過とともにどのように変化したかを調査したうえで、実際の病床数との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2024年9月26日号の報告。
2022年9月13日までに公表された研究を、PubMed、Embase classic、Embase、PsycINFO、PsycIndex、Open Grey、Google Scholar、Global Health EBSCO、Proquest Dissertationsより検索した。対象研究には、精神科入院病床の必要数の推定を検討した研究を含めた。必要推定値、入院期間、推定年を抽出した。必要推定値は、中央値および四分位範囲(IQR)を用いて統合した。また、同じ時間と場所における必要推定値と実際の病床普及率を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・98件の推定値を含む65件の研究が特定された。
・病床の需要推定値は、2000年まで低下傾向であったが、その後安定していた。
・2000年以降の最新研究26件(入院期間未指定病床:15件、短期入院病床:7件、長期入院病床:4件)の推定値データを統合した。
・人口10万人当たりの必要推定中央値は、入院期間未指定病床47(IQR:39〜50)、短期入院病床28(IQR:23〜31)、長期入院病床10(IQR:8〜11)であった。
・2000年以降の必要推定値と実際の病床普及率の中央値は1.8(IQR:1.3〜2.3)であった。
著者らは「歴史的に、精神科病床の必要推定値は、2000年ごろまで減少していたが、それ以降は安定しており、実際の病床数よりも低値から高値に変化していた。病床数のさらなる削減を推奨している場合、この政策を見直す必要性が示唆された」とまとめている。
(鷹野 敦夫)