治療抵抗性統合失調症患者の再入院に対するLAI抗精神病薬併用の効果

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/06

 

 台湾・Taoyuan Psychiatric CenterのYun Tien氏らは、クロザピンで治療中の治療抵抗性統合失調症患者における長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用と精神科入院リスクの関連を評価した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2024年5月1日号の報告。

 本研究は、3次精神科センター単一施設レトロスペクティブコホート研究として実施された。DSM-IV-TRおよびDSM-5の診断基準による治療抵抗性統合失調症患者の再入院ハザード比(HR)を分析した。経口抗精神病薬またはLAI抗精神病薬の有無にかかわらず、クロザピンのさまざまな向精神薬レジメンを検討した。クロザピンの投与量と入院歴により層別化を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者は719例。
・分析は、3ヵ月、6ヵ月、1年にわたり、すべての患者で実施した。
・クロザピンとLAI抗精神病薬で治療された患者は、過去の入院回数が有意に多かった(p=0.003)。クロザピンと経口抗精神病薬で治療された患者は、クロザピン単独療法およびクロザピンとLAI抗精神病薬で治療された患者よりも、クロザピンの1日投与量が多かった(p<0.001)。
・LAI抗精神病薬で治療された患者は、3つの試験群間で1年以内の再入院のHRが有意に低かった。
・LAI抗精神病薬の保護効果は、疾患の重症度を示すクロザピンの1日投与量および過去の入院回数によって層別化されたすべてのサブグループにおいて観察された。

 著者らは「クロザピンとLAI抗精神病薬の併用は、クロザピンと経口抗精神病薬の併用やクロザピン単独療法と比較し、再入院リスクが有意に低かった。クロザピンで治療中の治療抵抗性統合失調症患者の再入院予防には、LAI抗精神病薬の使用を考慮する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)