運動は血圧を低下させるのに有効だが、病態生理学的状態、運動の種類、地域による効果の違いはよくわかっていない。今回、福岡大学の末松 保憲氏らによる系統的レビューとメタ解析の結果、健康人や高血圧などの生活習慣病患者では運動の種類にかかわらず収縮期血圧が低下したが、心血管疾患患者では低下しなかったことがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2024年11月1日号に掲載。
本研究では、Ovid MEDLINEとCochrane Libraryを用いて開始時~2023年8月1日の期間で運動による降圧効果を検討した435の無作為化比較試験を同定し、メタ解析を含むアンブレラレビューを行った。ランダム効果モデルのメタ解析で複数の研究にわたる効果量を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・運動により収縮期血圧は、健康人(-3.51mmHg、95%信頼区間[CI]:-3.90~-3.11、p<0.001)および高血圧を含む生活習慣病患者(-5.48mmHg、95%CI:-6.51~-4.45、p<0.001)で有意に低下したが、心血管疾患患者(-1.16mmHg、95%CI:-4.08~1.76、p=0.44)では低下しなかった。
・運動の種類別では、健康人と生活習慣病患者ではすべての種類で収縮期血圧が有意に低下したが、心血管疾患患者では低下しなかった。
・地域別では、オセアニアでは収縮期血圧の低下はみられなかった。アジアでは心血管疾患患者で収縮期血圧が低下した。
本結果から著者らは「心血管疾患患者で高血圧を軽減するために運動を行う場合、患者の病態生理学的状態と地域を考慮することが重要」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)