末期腎不全の患者、男女ともに過体重・肥満者が増加/新潟大

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/14

 

 肥満は、腎臓に悪影響を及ぼし、慢性腎臓病(CKD)の発症や悪化に繋がるリスクとなる。最近の透析導入患者でも肥満者の割合が高まっていることが、米国などから報告されているが、わが国の割合の経年変化は検討されていなかった。そこで、新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学講座の若杉 三奈子氏らの研究グループは、2006〜19年の間にわが国の透析導入患者について、肥満者とやせた人の割合について経年変化を評価した。その結果、男女とも肥満者の割合が有意に増加し、その増加率は一般住民を上回っていたことが判明した。Nephrology誌オンライン版2024年10月27日号に掲載。

男女とも末期腎不全患者における過体重/肥満有病率が増加

 研究グループは、2006〜19年の日本透析医学会の統計調査および国民健康・栄養調査から、透析導入患者(20歳以上)と一般住民(20歳以上)におけるBMIデータを男女別・年齢階級別に入手し、年齢調整後にジョインポイント分析で年平均変化率(AAPC)を評価した。また、各年齢階級別でも評価し、最後に、透析導入の原疾患(糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性糸球体腎炎、そのほか)別でのAAPCも評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・末期腎不全(ESKD)発症の患者群において過体重/肥満の年齢調整有病率は、男性のAAPCが3.36(95%信頼区間[CI]:2.70~4.09)、女性がAAPCで2.86(95%CI:1.65~4.19)と増加した。
・一般住民における過体重/肥満の年齢調整有病率は、男性では0.87(95%CI:0.26~1.42)と増加したが、女性では0.01(95%CI:-0.55~0.57)と増加しなかった。
・年齢調整したやせた人の割合は、透析導入患者では男女とも有意に減少していたが、一般住民よりは高かった。

 これらの結果から研究グループは、「わが国におけるESKD患者群では、過体重/肥満の増加傾向が観察された。ESKD患者群における低体重と過体重/肥満の両方に対処することが喫緊の課題」と結論付けている。

(ケアネット 稲川 進)