砂糖の摂取量とうつ病や不安症リスクとの関連〜メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/28

 

 世界中で砂糖の消費量が急激に増加しており、併せてうつ病や不安症などの精神疾患の有病率も増加の一途をたどっている。これまでの研究では、さまざまな食事の要因がメンタルヘルスに及ぼす影響について調査されてきたが、砂糖の摂取量がうつ病や不安症リスクに及ぼす具体的な影響については、不明なままである。中国・成都中医薬大学のJiaHui Xiong氏らは、砂糖の摂取量とうつ病や不安症リスクとの関連を包括的に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Nutrition誌2024年10月16日号の報告。

 食事中の砂糖の総摂取量とうつ病、不安症リスクとの関連を調査した研究をPubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Science、China National Knowledge Network (CNKI)、WangFangより、システマティックに検索した。選択基準を満たした研究は、システマティックレビューに含め、品質評価したのち、データ抽出を行った。メタ解析には、Stata 18.0 ソフトウェアを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・40研究、121万2,107例をメタ解析に含めた。
・砂糖の摂取量は、うつ病リスクを21%増加(オッズ比[OR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.14〜1.27)させることが示唆されたが、不安症リスクとの全体的な関連性には、統計学的に有意な結果が得られなかった(OR:1.11、95%CI:0.93〜1.28)。
・異質性が高いにも関わらず(I2=99.7%)、結果は統計学的に有意であった(p<0.000)。
・サブグループ解析では、砂糖の摂取とうつ病リスクとの関連は、さまざまな研究デザイン(横断研究、コホート研究、ケースコントロール研究)、サンプルサイズ(5,000例未満、5,000〜1万例、1万例超)にわたり、一貫していた。
・女性は、男性よりもうつ病リスクが高かった(OR:1.19、95%CI:1.04〜1.35)。
・さまざまな測定法の中でも、食物摂取頻度調査(FFQ)は、最も有意な効果を示した(OR:1.32、95%CI:1.08〜1.67、I2=99.7%、p<0.000)。
・測定ツールのサブグループ解析では、砂糖の摂取とうつ病リスクとの間に有意な相関が、こころとからだの質問票(PHQ-9)、うつ病自己評価尺度(CES-D)で示唆された。
【PHQ-9】OR:1.29、95%CI:1.17〜1.42、I2=86.5%、p<0.000
【CES-D】OR:1.28、95%CI:1.14〜1.44、I2=71.3%、p<0.000
・高品質の横断研究およびコホート研究では、砂糖の摂取とうつ病リスクとの間に有意な関連が認められ、ほとんどの結果はロバストであった。
・砂糖の摂取と不安症リスクの全体的な分析では、有意な影響がみられなかったが、とくにサンプルサイズが5,000例未満の研究(OR:1.14、95%CI:0.89〜1.46)および食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた研究(OR:1.31、95%CI:0.90〜1.89)といった一部のサブグループにおいて有意に近づいていた。

 著者らは「食事中の砂糖の総摂取量は、一般集団におけるうつ病リスク増加と有意に関連していたが、不安症リスクとの関連は有意ではなかった。これらの関連性についての信頼性を確保するためには、さらに質の高い研究が求められる。本研究により、食事中の砂糖摂取量がメンタルヘルスに及ぼす影響、サブグループ分析によって潜在的な高リスク群に対するうつ病や不安症の予防に関する新たな知見が得られた」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)