進行乳がん1次内分泌療法、フルベストラント+CDK4/6iの有用性は?/日本癌治療学会

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/11/26

 

 HR+/HER2-の進行・再発乳がんに対する1次内分泌療法としてのフルベストラント+CDK4/6阻害薬は、アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬と同等の有効性であり、リンパ球数(ALC)は独立した予後予測因子ではなかったことを、市立四日市病院の豊田 千裕氏が第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。

 ガイドラインでは、HR+/HER2-の進行・再発乳がんに対する1次内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬が推奨されている。内分泌療法歴のない進行・再発乳がんにおいてアロマターゼ阻害薬とフルベストラントを比較したFALCON試験の結果から、1次内分泌療法としてのフルベストラント+CDK4/6阻害薬の有効性が期待されている。また、CDK4/6阻害薬で治療したHR+/HER2-の転移・再発乳がんでは、ALCが独立した予後予測因子であることも報告されている。そこで研究グループは、進行・再発乳がんの1次内分泌療法としてフルベストラント+CDK4/6阻害薬を投与した場合の無増悪生存期間(PFS)と安全性を評価することを目的として前向き研究を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・2021年4月~2024年4月に、HR+/HER2-の進行・再発乳がん患者23例が登録された。年齢中央値は64.0(範囲:38~83)歳、de novo StageIVが13例、再発が10例、ベースライン時のALC中央値は1,667(範囲:541~5,176)μLであった。CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブが16例、アベマシクリブが7例に用いられた。観察期間中央値は20(範囲:7~36)ヵ月であった。
・全奏効率は91.3%(PR:21例[91.3%]、SD:2例[8.7%])、病勢コントロール率および臨床的有用率は100%であった。
・PFSは未到達であるが、データカットオフ時点の中央値は19(範囲:7~36)ヵ月であった。
・ベースライン時のALCが1,500μL以上の群でも1,500μL未満の群でもPFSに有意差は認められなかった(p=0.721)。
・ALCの変化率が高い群(36%以上)と低い群(36%未満)でもPFSは同等であった(p=0.878)。
・23例中3例に薬剤性間質性肺疾患が発現した。

 これらの結果より、豊田氏は「フルベストラント+CDK4/6阻害薬によるHR+/HER2-の進行・再発乳がんの1次内分泌療法の有効性は、アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬と同等の結果であることが示された。しかし、ベースライン時のALCおよびALC変化率は、フルベストラント+CDK4/6阻害薬による治療の予後予測因子とはならなかった」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)