高齢者が健康で長生きできる理想的な体型はあるのだろうか。このテーマに対して渡邉 大輝氏(早稲田大学スポーツ科学学術院)らの研究グループは、わが国の高齢者約1万人を対象に調査研究を行った。その結果、フレイルでもフレイルでもない高齢者のどちらでも、体格の指標であるBMIが22.5~23.5で最も介護認定を受けるリスクが低いことが示された。また、BMIが18.5未満の痩せている人は介護認定を受ける前に死亡する可能性が高く、その一方でBMIが27.5以上の肥満の人は障害を伴う生存期間が長いことが示された。International Journal of Obesity誌オンライン版2024年11月15日からの報告。
BMIの高低、フレイルの有無で障害生存期間に差
研究グループは、フレイルのある高齢者とフレイルのない高齢者で、BMIと全生存年齢、障害および無障害生存率との関連について調査を行った。本研究では、2011~16年に実施された京都亀岡スタディで有害事象の追跡調査を受けた65歳以上の成人1万232人を登録。BMIは、自己申告による身長と体重に基づいて算出され、18.5未満、18.5~21.4、21.5~24.9、25.0~27.4、27.5以上の5つのカテゴリーに分類した。フレイルは、基本チェックリストを用いて評価し、BMIと障害および死亡率との関係は、多変量Cox比例ハザードモデルとラプラス回帰を用いて解析した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値5.3年(4万5,472人年)の間に、2,348例(22.9%)が新たに介護認定を受けた。
・病歴や生活習慣などの交絡因子を調整した結果、BMIが最も低いカテゴリーと最も高いカテゴリーでは、BMIが21.5~24.9の人と比較し、障害のハザード比(HR)が高かった(18.5未満のHR:1.31[95%信頼区間[CI]:1.16~1.49]、27.5以上のHR:1.27[95%CI:1.08~1.49]、非直線性p<0.001)。
・全生存期間および無障害生存期間の年齢における50パーセンタイル差では、BMIが18.5未満の人は、障害発生前に死亡する可能性が高かった(障害を伴う生存期間[全生存期間-無障害生存期間]:-10.2ヵ月)。
・BMIが27.5以上の人は、障害を伴う生存期間が長かった(12.5ヵ月)。
・これらの関係はフレイル層別化モデルでより顕著であり、BMIが27.5以上群では、フレイルのある人はフレイルのない人よりも障害を伴う生存期間が長かった(27.2ヵ月vs.6.2ヵ月)。
以上の結果から研究グループは、「BMI高値の高齢者でフレイルの人は、障害を伴う生存期間の長期化と関連していた。また、BMIの値にかかわらずフレイルのある人は、フレイルのない人に比べて生存期間が短いため、フレイルを回復させることを優先するべき」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)