アルツハイマー病最新治療薬の認知機能改善に対する有効性比較

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/19

 

 近年、新たなアルツハイマー病治療薬が登場し、臨床試験において認知機能および臨床症状に対する有望な結果が得られている。しかし、多くの薬剤の中から最も効果的な治療オプションを選択することについては、依然として議論が続いている。中国・西安交通大学のWeili Cao氏らは、新規アルツハイマー病治療薬の有効性を比較し、それらの薬剤をランク付けするために、ネットワークメタ解析を実施した。Neuroscience誌2025年1月号の報告。

 各種データベース(PubMed、Web of Science、Cochrane LIbrary、gov)より、2020〜24年に公表されたランダム化比較試験をシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-cog)、臨床認知症評価尺度(CDR-SB)、認知症患者における日常生活動作評価尺度(ADCS-ADL)などのいくつかの主要指標について、比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ADAS-cogの改善において、プラセボよりも有効であった薬剤は、次のとおりであった。
【GV-971】MD:−2.36、95%CI:−5.08〜0.35
【レカネマブ】MD:−2.00、95%CI:−5.25〜1.26
【ドナネマブ】MD:−1.45、95%CI:−4.70〜1.81
【masupirdine】MD:−0.83、95%CI:−3.49〜1.84
・CDR-SBにおいては、レカネマブがより有効であった(MD:−3.11、95%CI:−5.23〜−0.99)。
・ADCS-ADLにおいて、ドナネマブはプラセボと比較し、より有効であった(MD:−3.26、95%CI:1.48〜5.05)。
・SUCRA値の比較では、GV-971は、ADAS-cog(76.1%)およびBPSD評価尺度NPI(68.7%)において優れた治療効果が認められ、レカネマブは、他の薬剤よりもCDR-SBスコアの改善に有効であった(98.1%)。
・ドナネマブは、ADCS-ADLスコアの低下に対し最も有望な薬剤である可能性が示唆された(99.8%)。
・ミニメンタルステート検査(MMSE)に対するmasupirdineの有効性は、他の薬剤よりも有意に良好であった(80.7%)。

 著者らは「ドナネマブおよびレカネマブは、ADCS-ADLおよびCDR-SBにおいて優れた有効性が確認された。また、GV-971は、ADAS-cogおよびNPIの改善に最適な選択肢である可能性が示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)