友人同士でも腹を割って話しにくいであろう話題の1つがトイレや排泄に関することではないだろうか。今回、CareNet.comでは医師のトイレ事情として、温水洗浄便座の使用有無や温水洗浄便座が影響する疾患の認知度などを探るべく、『温水洗浄便座の使用について』と題し、会員医師1,021人にアンケートを実施した。その結果、医師の温水洗浄便座の使用率は約8割で、年齢を重ねるほど使用率が高い傾向にあることが明らかになった。
6割が自宅・外出先を問わず使用
まず、使用場所について聞いたところ、「自宅・外出先問わずどちらも使用する」は61%、「自宅では使用するが外出先では使用しない」が17%、「自宅では使用しないが外出先では使用する」が1%、「どちらも使用しない」が20%であった。また、年代別にみると50~60代の医師の使用率が高く、「自宅・外出先問わずどちらも使用する」との回答が7割超で、「自宅では使用するが外出先では使用しない」まで合わせると8割強にまでのぼり、温水洗浄便座が生活になくてはならないものになっているようだ。実際に温水洗浄便座の使用に対して以下のようなコメントが寄せられていた。
・排便後の清拭習慣はなかなか変えられないため(50代、内科)
・排便後の局所の清潔が保たれる。排便後の掻痒がない(50代、外科/乳腺外科)
・排便の調子が使うほうが良い(50代、内科)
・清潔保持のため(60代、循環器内科/心臓血管外科)
・清潔な便座であれば外出時でも使用します(60代、内科)
・森林資源の保全に間接的に寄与するかもしれない(60代、神経内科)
・痔があるから(60代、消化器科)
・外出先ではノズル洗浄をしてから使用する。ノロウイルス感染を危惧はするが、トイレットペーパーの使用回数を減らしたいため(60代、整形外科)
一方で、使用しないと回答した医師の意見には以下のようなものが挙げられた。
・尿路感染症などが心配(30代、糖尿病・代謝・内分泌内科)
・肛門環境が悪くなるから(40代、内科)
・便がお尻に飛び散る気がして心配になるから(40代、腎臓内科)
・清潔ではないから(50代、消化器科)
・膣炎や膀胱炎のリスクがある(60代、内科)
使用者は患者にも勧める?温水洗浄便座が便失禁につながる報告も
温水洗浄便座の使用自体は肛門疾患、とくに裂肛を有する場合に勧められる
1)。では実際に、痔の症状を訴える患者に対して勧めるかを聞いたところ、「毎回勧めている」は12%、「症状(裂肛など)や併存疾患を考慮して勧めている」は34%と、約半数の医師が患者に勧めていた。興味深いことに、50代以上の医師で患者に勧めている傾向が大きいことから、自身が利用しその有用性を認めた上で患者に話している可能性が考えられる。
一方で、温水洗浄便座の使用によって引き起こされる疾患も存在し、その1つが便失禁である
2,3)。これについての認知度を調査したところ、「知っている」と回答したのは15%で、「聞いたことはあるが詳細は知らない」まで含めると約半数の医師が便失禁リスクになることを認識していた。これに関して、消化器科医の回答割合も同等であり、専門・非専門を問わず詳細まで知っている医師は少ないようだ。なお、温水洗浄便座の頻回使用や長時間使用が肛門のかゆみを引き起こす『温水洗浄便座症候群』の原因にもなることから、TOTO社はウォシュレットの使用説明書
4)において「約10~20秒を目安にご使用ください」と注意喚起している。
このほか、温水洗浄便座使用に対する患者へのアドバイス経験の有無、患者や自身のトイレに関するエピソードのアンケート結果を公開している。
アンケートの詳細は以下にて公開中
『温水洗浄便座、医師の利用率は?』
(ケアネット 土井 舞子)