アルコール性急性膵炎の治療に有効なターゲットを特定 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2009/06/17 独立行政法人理化学研究所は16日、英国・リバプール大学と共同で、アルコール誘発性の急性膵臓炎(膵炎)の発症初期に「イノシトール三リン酸受容体(IP3レセプター)」がかかわっていることを発見したと発表した。急性膵炎の主な発症原因として、アルコール依存症の患者に多く見られるアルコールの多量摂取が挙げられる。膵臓を構成する細胞内で消化酵素が異常に活性化すると、膵臓を部分的に消化してしまい、その損傷によって炎症を起こして、急性膵炎を発症させる。これまでの研究から、膵臓内の酸素濃度が低下する際にアルコールと脂質を材料として脂肪酸エチルエステル(FAEE)という化合物が作られることが知られている。この時、FAEEは膵臓細胞内のカルシウム濃度を過剰に上昇させ、トリプシンなどの消化酵素を活性化させると考えられている。膵炎発症のきっかけとなる細胞内のカルシウム濃度上昇の第一段階は、アルコールの刺激によって、細胞内のカルシウム貯蔵庫に貯蔵されているカルシウムが細胞質へと放出されることで始まる。研究グループは、FAEE量が増大すると、カルシウムが特異的なカルシウム貯蔵庫から2型、3型IP3レセプターを通って細胞質に放出されることを見いだした。さらに、理研グループが作製した2型、3型IP3レセプターを欠損するノックアウトマウスの膵臓細胞でFAEEによる毒性の減少が認められたことから、アルコールによる過剰なカルシウム上昇と消化酵素の活性化に、2型、3型IP3レセプターが重要な役割を果たすことが決定的となったという。本研究は、米国の科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America』6月15日の週にオンライン掲載される。詳細はプレスリリースへhttp://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2009/090616/detail.html 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 急性膵炎の抗菌薬処方はもう古い!?最新治療とは―診療ガイドライン2021発刊 医療一般(2022/06/09) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がん、多遺伝子シグネチャー活用で予後改善/BMJ(2024/11/14) 心房細動を伴う脳梗塞後のDOAC開始、早期vs.晩期/Lancet(2024/11/14) 肺がんにおける悪液質の介入は確定診断前から?/日本肺癌学会(2024/11/14) 末期腎不全の患者、男女ともに過体重・肥満者が増加/新潟大(2024/11/14) 統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析(2024/11/14) 変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併(2024/11/14) 将来は1時間程度で結果が出る血液検査が可能に?(2024/11/14) 飛行機の換気システムでナッツアレルゲンは広がらない(2024/11/14)