タシグナが初発の慢性骨髄性白血病の治療に優れた効果を発揮

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/18

 



ノバルティス ファーマ株式会社は16日、「タシグナ」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)の投与を受けた初発の慢性骨髄性白血病(CML)の患者において、治療開始から12ヵ月の時点で速やかな効果が見られ、CMLの原因となる異常なタンパクの発現が大幅に減少することが、GIMEMA (Gruppo Italiano Malattie Ematologiche dell’Adulto)グループが実施する試験からの新たなデータで示されと発表した。

今回の研究では、フィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病(Ph+CML)患者を対象に、タシグナと「グリベック」(一般名:イマチニブメシル酸塩)のこれまでのデータを比較している。この結果は、ドイツ・ベルリンで開かれた第14回欧州血液学会(14th annual European Hematology Association congress)にて発表された。

グリベック治療に関してはこれまで、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)の達成もしくは患者の骨髄中にフィラデルフィア染色体細胞が検出されないこと、という観点から有効性が評価されていた。しかし、より高感度の測定方法を用いた分子遺伝学的寛解(MMR)が有効性の重要な評価基準として重要視されつつあり、今後、MMRが長期的無増悪生存に対する最良の予測因子となる可能性があるという。

タシグナは、白血病細胞の過剰生成に関与する異常なBcr-Ablタンパクとその変異体をグリベックより効果的に阻害する目的で開発された。今回の第II相試験では、エンドポイントとしてMMR達成までの時間も評価している。データによると、タシグナの治療開始から12ヵ月の時点で、96%の患者がCCyRを、85%の患者がMMRを達成したという。これらのデータとグリベックのこれまでのデータとを比較すると、タシグナは、疾病による負担をより迅速に軽減し得るという。

現時点でタシグナは、グリベックなどの前治療に抵抗性または不耐容の慢性期または移行期のCML成人患者に対する治療薬として65ヵ国以上で承認されている。

また、初発慢性期のCML患者を対象としたタシグナとグリベックを比較する第III相試験も現在進行中であり、その結果は2010年前半に得られる予定とのこと。

詳細はプレスリリースへ
http://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090616.html