アストラゼネカ株式会社は3日、米国アストラゼネカ社が行った、急性冠症候群患者を対象とした第III相並行群間比較試験であるPLATO試験(A Study of Platelet Inhibition and Patient Outcomes)において、Ticagrelorがクロピドグレルと比較して大出血リスクを増加させることなく(Ticagrelor 11.6% vs. クロピドグレル11.2%、p=0.43)、主要評価項目である心血管イベント発症リスク(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を有意に抑制したと発表した(Ticagrelor 9.8% vs. クロピドグレル11.7%〔12ヵ月経過時点〕、相対リスク減少率16%、95%信頼区間 0.77~0.92、p<0.001)。有効性評価項目においてTicagrelorはクロピドグレルと比較して統計学的有意に心血管死(4.0% vs. 5.1%、p=0.001)と心筋梗塞発症を抑制した(5.8% vs. 6.9%、p=0.005)。一方、脳卒中発症抑制(1.5% vs. 1.3%、p=0.22)において有意差は認められなかったという。Ticagrelorは急性冠症候群患者を対象としたクロピドグレルとの比較において、心血管死の抑制を示した初めての抗血小板剤となる。
PLATO試験は、急性冠症候群患者18,624人を対象にTicagrelorとアスピリンの併用療法群とクロピドグレルとアスピリンの併用療法群を直接比較した試験で、Ticagrelorが有効性評価および安全性評価において意義のある成績を達成できるかを検討したもの。
PLATO試験では、クロピドグレル群に比べTicagrelor群では心血管イベント発症抑制は早期から認められ、試験期間を通してこの治療効果の差は増加した。Ticagrelorは複数の有効性副次評価項目において一貫した有効性を示した。副次評価項目には、心血管死(全死亡とは区別)、心筋梗塞、そして心筋梗塞・脳卒中・全死亡の複合イベントが含まれている。試験期間中に冠動脈内ステント留置術を受けた患者においてTicagrelor群ではステント内血栓症発症リスクが33%抑制された。
また、PLATO試験の結果は欧州心臓病学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicine(http://www.nejm.com)に掲載された。
同社は試験の結果を受け、欧州および米国の規制当局に対し、今年の第4四半期に新薬承認申請、医薬品販売承認申請を行う予定だという。日本では第I相臨床試験が終了している。
詳細はプレスリリースへ
http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2009/09_09_03.html